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ORACLE
Oracle OpenWorld San Francisco 2005

2005年9月17〜22日、サンフランシスコのモスコーニ・センターにて、Oracle OpenWorldが開催された。

今回は、PeopleSoft、JD Edwards、Retekといった、新たにオラクルファミリーに加わったアプリケーション製品群のセッションがおこなわれることもあり、事前の参加登録(有償)は35,000名を超え、800を超えるセッション、出展社数300社以上、3,000社におよぶパートナー企業の参画という過去最大規模となった。

開催の1週間前には、CRMアプリケーション大手のシーベルの買収が発表され、今後の業界動向やエンタープライズ・アプリケーションの将来像を探ろうと、多くの技術者やユーザーが熱心にキーノート・セッションや技術セミナーに参加した。

Oracle Fusion Middlewareバス
Middleware Monday

本格的なセッションが開始された9月19日(月)は、「Middleware Monday」となった。この日オープニングのキーノート・セッションを務めたのは、オラクル・コーポレーション社長 チャールズ・フィリップス。最初に、PeopleSoftとの大きな統合を成し遂げたオラクル全体の組織体制に触れ、新たな顧客、新たなパートナー、そしてオラクルという3者それぞれが相互に機能し合う大きなエコシステムができあがったことを伝えた。そして、すべてにおいてよりよい情報を低コストで提供する方法論のキーワードとして、「Protect」「Extent」「Evolve」という3つを提示した。

チャールズ・フィリップス
オープニングで登壇するチャールズ・フィリップス

Protectは既存の顧客の投資を保護すること、Extentは今後も各製品を拡張し続けること、Evolveは技術的な革新を顧客にとって妥当なペースで提供していくことを表す。「オラクルはこれまで、技術革新を続けてきた。今後は、常に顧客の声を聞いていく。その手段としてはCIOの諮問機関もあれば、顧客調査という方法もある。それらからさまざまな意見を聞いて、その上で新たな技術を提供していく。技術だけでなく、リレーションシップを大切にしていく」とフィリップス。最先端の技術をいち早くエンタープライズの分野に提供してきたオラクルから、より顧客志向のオラクルへと変革するということだ。

実際、PeopleSoftとの合併後、サポートサービスの顧客満足度調査によると、従来にくらべて改善されたという結果が示された。サポート体制がよりグローバル化され、レスポンスがよくなっているとのことだ。サポートについては、顧客志向の戦略の一環として、「Lifetime Support Policyの変更」や「One Stop Support for ISV」など、パートナーによるサポート体制の強化が発表された。

Oracle OpenWorld San Francisco 2005
Oracle Fusion Architecture

次なる革新として新たに発表されたのが「Oracle Fusion Architecture(OFA)」だ。オラクルは、2004年初頭に開催したOracle AppsWorldで、「Oracle Information Architecture(OIA)」を発表した。これは、WebからSOAベースに移行してきたアプリケーション環境を踏まえ、「サービス指向アプリケーションを実現する新たなアーキテクチャ」として提起されたものである。OFAも、SOAを実現するという目的は同じだ。OIAとOFAの大きな違いは、前者がアーキテクチャを基本的にすべてオラクル製品で構成していたのに対し、後者はPeopleSoftやJD Edwardsなど新たにオラクルの製品群に加わったものはもちろん、ミドルウェア層ではIBMのWebSphereなど他社の技術をも取り込んで構成されている点だ。

OFAの特長は、徹底したモジュール化だ。このモジュール化を細かいコンポーネント単位にまで落とし込んでいるため、問題が起きても独立した小さなコンポーネント単位で解決でき、他に影響を及ぼすことがない。そして、これらのコンポーネントはすべて業界標準に準拠した技術で構成される。

「SOAを進めるうえで、他社はさかんにプロセスの話をする。実際にSOAを実現するには、プロセスだけではだめだ。プロセスとデータがあって初めて実現できる」と、OFAがSOAに最適であることをフィリップスは強く主張した。

このOFAを最初に現実のものとするのが、「Project Fusion」と「Oracle Fusion Middleware」だ。Project Fusionは、2008年を目標にあらゆるアプリケーション製品をOFAのもとに統合していくプロジェクト。これにより、既存の投資を保護しつつ、顧客に最適なベスト・オブ・ブリードを実現する。Oracle Fusion Middlewareは、アプリケーション・サーバーの技術を基盤として、ミドルウェアでさまざまなアプリケーションの連携を強化している。その特長の1つとして、「Hot-Pluggable」がある。これは、オープンで標準に則ってコンポーネント化されたOFAに基づく機能で、サードパーティーのISVなどが、簡単に独自のアプリケーションや機能をプラグインできるものだ。

Application Tuesday
ジョン・ウーキーのセッション
満席の会場でおこなわれるジョン・ウーキーのセッション

2日目は、アプリケーション製品にフォーカスが当てられた。この日は、開催期間中もっとも参加者が多かったのではないだろうか。というのも、PeopleSoft、JD Edwardsのかつての顧客が、もっともたくさん訪れたからだ。キーノート・セッションに登場したのは、アプリケーション製品の総責任者であるオラクル・コーポレーション シニア・バイスプレジデント ジョン・ウーキー。彼も前日のフィリップスと同様、顧客志向の重要性について述べた。

ウーキーは、オラクルが進めるのはシンプルなビジネスであり、顧客の成功を考え、顧客のビジネスを理解することが重要だという話から始めた。そして、PeopleSoftとの融合でよりよいユーザーグループができたことは大きな収穫だと述べた。製品の方向性を決めるうえで重要となるAdvisory Boardsがあり、さらに、顧客との接点を増やすためにExecutive Contactを実施することで、責任ある立場の人間が、顧客から直接意見をもらう機会が増えていることを報告した。

「オラクルはテクノロジー・リーダーの会社だといわれるが、たんなる研究開発の会社ではない。そのため、むやみに技術を押し付けるようなことはしたくない。顧客のビジネスの利益になることが一番重要だ。将来的に有望な技術的要素と、ビジネスの価値が一致しなければ意味がない」と、ウーキー。常に顧客からのフィードバックを得たいという点は、前日のフィリップスと同様だ。また彼は、顧客の投資を保護するために、現在使っている製品から次世代のシステム(Project Fusion)へのアップグレードを保証すると約束した。このアップグレードについても、強制するものではなく顧客のペースに合わせて進めていく。

ウーキーはその後、オンデマンドのビジネスについても触れ、もっとも成長している分野であり、中小規模を対象にオラクル自身がオラクル製品を管理してサービスを提供することの強みを強調した。最後に、顧客とのさらなるコミュニケーションのためのExecutive B-logとPodcastingという最近流行の手法が紹介され、最後まで顧客志向のオラクルを強くアピールした。

Grid Wednesday
チャック・ロズワット
3日目のキーノート、チャック・ロズワット

3日目のキーノート・セッションは、オラクル・コーポレーション エグゼクティブ・バイス・プレジデント チャック・ロズワットの登壇から始まった。彼は、Oracle Fusion Architectureを中心に、最新の「Oracle Application Server 10g Release 3」について語り、すでに、PeopleSoftからOracle E-Business SuiteにBPEL経由で連携が実現できていることを伝えた。また、トピックスとして大きく取り上げられたのが、セキュリティだ。強化の一例として、「トランスペアレント・エンクリプション」という機能について解説し、既存のアプリケーションに変更を加えることなくデータを簡単に暗号化できる様子を、デモを交えて紹介した。さらに話題は、グリッドやRFIDなど最新技術に及んだ。

ラリー・エリソン
オラクルの今後について熱く語るCEO ラリー・エリソン

この日の2つ目のキーノートには、オラクル・コーポレーション CEO ラリー・エリソンが登壇。業界標準への準拠の重要性を説き、OFAでSOAを実現すると同時に顧客がアプリケーションや環境を自由に選択できるようにすることを約束した。その後、次期Oracle Fusion Applications(Project Fusionの成果となる製品)において、他社のデータベースをサポートすることを検討している旨を発表した。今回のOracle OpenWorldで、ミドルウェアについては、IBMのWebSphereをサポートすることがすでに発表されている。「現状では五分五分」と、この大きな決断がどう転ぶかは現時点でははっきりしていない。この検討に至ったのも、オラクルがとことん顧客のことを考えたからだとエリソンは述べている。顧客がなぜ他社のデータベースを選んだのか、今後の判断のためにさまざまな意見を聞いて決定してゆく予定である。

今回のOracle OpenWorldは、オラクルが大きく変化していることを伝えるものとなった。これまでは、テクノロジー・リーダーとして業界をリードしてきたが、PeopleSoftやJD Edwardsなどの買収により新たな顧客が加わり、顧客にとっての価値を最優先する方向に舵を切ったといえる。製品が成熟化してきた現状、さらに時代が要求するSOAの方向性をも見据えた結果として、顧客志向がビジネスにより重要との判断を下したのであろう。

今後は、技術革新と顧客志向という一見矛盾する課題をバランスよく提供していこうとする、新たなオラクルの姿を披露する場となった。


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