| 28年使ってきた既存システムに別れを告げる。業務改革の一翼を担う基幹会計情報システム。 |
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明治41年、京浜工業地帯の開発に力を注いだ伝説的な創業者、浅野総一郎によって始まった、東亜建設工業株式会社。臨界工業地帯造成、港湾整備の世界的なパイオニアとして建設業界内でも独自の地位を築き上げている。その守備範囲は空港、エネルギープラント、ライフラインなど多伎にわたる。
同社では2000年から社内の業務改革、社風改革に取り組み、今回の基幹会計情報システム構築もその一環として行われた。会計システムは、1973年に導入されたホストコンピュータ上のものがベースになっており、制度変更にも即応しにくい、硬直化したシステムとなっていた。
システム構築の目的について、経営企画室の関氏が述べる。
「変化の激しい建設業界で競争力のある会社として生まれ変われるよう、現場まで含めた全社的な改革への取り組みを行ってきました。とりわけ、コミュニケーション面での改善、組織内での情報の流通という観点からの改革が主眼となり、それを解決するための社内情報ネットワーク基盤の構築が命題となったのです。会計システムは28年も使われており、制度変更に伴ってツギハギの状態です。ERPを検討しようとなった時に、情報ネットワークまで全部やろうということになりました」こうした東亜建設工業の想いを現実にしたのが、Oracle
E-Business Suiteである。
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| 自己責任主義の徹底をめざすこと。データを思いのままに再利用できる、シンプルな環境へ。 |
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旧システムではどのような問題があり、どのようなシステムを望んでいたのか、井桁氏が話す。
「硬直化して、制度改正に伴ってシステムを変えることもままならない。必要な情報が欲しくても、1カ月遅れの古いデータしか出せないのでは問題です。新しい社内情報ネットワーク上で新鮮な情報を流通させようというのが狙いです。また自己責任主義の徹底という考えがありました。それまではデータ入力してミスが発生すると、誰かに文句を言っていたわけですが、そういうことは止めよう。業務のやり方そのものを変えようという試みです」
プロジェクトはどのように進んだのか。プロジェクトを管理した石丸氏は語る。 「2001年1月に経営会議にシステムを変えたいという案を提出し、どの範囲までやるのかという議論になりました。アンケートをとり、全体のシステムを見直す方向に決定。8月から現状分析にとりかかり、年末にはシステム全体のスキームが決まりました。既存システムへの執着が現場にはありましたが、処理時間の短縮化などの新システムのメリットを強調して理解してもらいました。
2002年1月の経営会議で最終報告してゴーサインが出て、プロジェクトが2月末からスタートしました」約1年に及ぶ地道で周到な準備が、新システム構築への大きな流れをつくり出したのである。
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| プロジェクト会計への対応。既存資産を活かせるオープン・インターフェースが選択の決め手。 |
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東亜建設工業では検討していたパッケージ製品があった。今回はその製品を止めてOracle
E-Business Suiteを選択している。その理由は何か。関氏が語る。
「7社から始まり、最終的には4パッケージ製品に絞り込みました。某外資大手ベンダさんのパッケージを視野に入れて検討していたのですが、その製品はお国柄なのか帳票類もきわめて細かく定義されていましたので、ひとつひとつ入力していくとしたらなかなか大変だなという感じでした。我々が使わないような必要のない機能もかなりありました。それに対してOracle
E-Business Suiteは融通が利きそうだなというのが、最初の印象だったですね」
また井桁氏は次のように説明する。「今回は全部のシステムを作り直すというのではなく、既存の資産が活かせるようなインターフェースを考えなければなりませんでした。弊社の中核となるプロジェクト情報は既存システムの中にあって、会計システムとのやり取りが一番やりやすいものは何かということを考えました。その点で、Oracle
E-Business Suiteはオープン性に優れていました。DB上のデータモデルが公開されているので、非常に使いやすい。しかも、分析ツールやワークフローツールがパッケージの中で一緒に提供されていることも、コスト・パフォーマンスの面から見ても有利でしたね」
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| 完全ペーパーレス化の実現。月次処理を5営業日に一気に短縮し、四半期決算開示も可能に。 |
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どのような成果が現れたのであろうか。「ひとつひとつの請負工事に対して行う個別原価管理は、当社の会計基盤ですが、我々のプロジェクト管理システムとプロジェクト会計との連携は他のパッケージでは難しく、プロジェクト会計(PA)モジュールで容易につながりました。当社は期間の長い工事が多く、個々の工事を細かく分析しなければなりません。工種で見たりするのですが、そうした特有の要件をブレイクダウンストラクチャーとしてプロジェクト会計モジュールの中で実現できました」と井桁氏は語る。
会計処理については「2週間かかっていた月次処理を5営業日に、四半期決算については10営業日という目標を立てています。ワークフローツールも入れてあり、人員の再構成を含めて、どんな組織になっても対応できるシステムになりました」と語る。
また、従来800種類あった専用帳票を100種類に削減し、ペーパーレス化を一層推進している。書類を中心とした業務を見直し、プロセスを標準化することによって基幹業務全体の効率が向上。組織のスリム化と事務コストの削減を実現している。
関氏もまた高く評価する。「スケジュール通りに14カ月で本稼動できたことに驚きました。こうしたプロジェクトは工期が延びて、予算も膨れ上がるのが常ですから。建設業界でシステム化が難しいと言われていたJV会計機能を開発できたことも意義がありますね」開発途中にOracle9i
DataBaseに対応するOracle E-Business Suite R11.5.7へのバージョンアップが行われ、オラクル製品のアップグレーダビリティの確かさがここでも証明された。
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| 今後の課題は、完全電子化と業界内のエクストラネット構築で情報の共有化を図ること。 |
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新システム構築について石丸氏は次のように評価する。「ユーザーがデータベースにアプローチして、自分の意思でデータを引き出せるような環境になりました。これからは自分のデータを加工して使うという時代が来たという感じですね」
関氏も同意する。「以前は原価意識の欠如という問題があったのですが、会社の経営データがデータベース化されてオープンになりますから、自分がやっていることが会社の業績に直接どう影響していくのかがわかるようになります。社員の意識改革によって、会社の変革が促される。社風改革の礎ができたと考えています」
今後の課題について井桁氏は「電子帳簿保存法に対応はしていますが、全部ではありません。契約書とか請求書はハンコが必要で、まだ紙として残っています。建設業界で進めているCIネットの進捗状況を見ながら、完全な電子化に向けて進めていきたいと思っています。また協力会社などとの情報共有化のためのエクストラネットを進めなければ、本当の意味での合理化にはつながっていかないでしょう。これが次の目標です」と語る。
基幹会計情報システムの構築を通じて取り組んだ、東亜建設工業のさらなる飛躍へのステップ。明治の港湾整備事業に情熱を注いだ創業者、浅野総一郎。その熱き理念とチャレンジ精神が、いまもここに生き続けている。
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