| サービスモデルを最初にデザイン |
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大日本印刷(DNP)は1876年(明治9年)、日本で最初の本格的な印刷会社として誕生し、その後印刷技術を応用・発展させて包装材や建材、エレクトロニクス関連部材や情報記録材など、人々の暮らしになくてはならない製品やサービスを次々と生み出してきた。2001年、大日本印刷は創業125年を機に新たなビジョンを策定し、「情報コミュニケーション産業」をさらに一歩進め、21世紀への取り組みを始めた。現在、『P&I
ソリューション DNP』をコンセプトワードとして、社会の未来につながる新しい価値を創りだしていくことを目指している。
長い歴史を持つ大日本印刷で使用していたIT環境の中でも、特に基幹システムについてはその多くが20年以上前に設計されたものであった。それぞれが事業組織毎に導入されたもので、業務処理と勘定処理が一体化したシステムとなっていた。しかしながら多様化した現在のビジネス状況に柔軟に対応することが困難になっていたため、新しいビジネスや事業形態の変化に機敏に対応出来るシステム刷新が求められていた。
新しいシステムに求められるものを決めるために、最初に取り組んだことは、大日本印刷が提供するサービスをモデル化することであった。これは現在注目されているSOAの考え方を早くから実践したものでもあった。
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| 具体的な展開を4つの施策に分けて推進 |
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モデル化したサービスを提供するために必要な環境、機能、条件等について、課題を分類し、それぞれに対して次の4つの基本施策を定めて展開していった。
一番目の施策は、データの正規化である。従来のシステムでは業務の種類ごとにアプリケーションが存在していたため、それぞれが個別に勘定処理を扱っていた。これらのシステムを統合する際には、個別に保持していた勘定系ビジネスロジック及びデータを切り離し、正規化に努めた。
二番目の施策はオープンなプラットフォームを採用することである。従来使用してきたメインフレームの維持管理コストを削減することも当然の目標であるが、それに加えて、将来にわたりIT資産を維持管理するためにもオープンプなラットフォームの採用は絶対条件となっていた。
三番目の施策は各事業分野の業務の標準化である。業務の共通化を図り全社的な効率化を目指したものでである。
四番目がシステム共通基盤(EAI)の構築である。これにより開発、保守のコストを削減し、安定稼動と最新テクノロジを安定して導入することが可能となる。
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| Windows上に.NETでアプリケーションフレームワークを構築 |
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今回のシステムは基幹系ということもあり、商用のOS, データベース、ツールを前提として採用した。いわゆるオープンソース製品については、将来の保守において不透明な部分があるため、現時点では採用する候補にはならないと判断したためである。
将来におけるプラットフォーム選択肢を残すこと、そして開発環境として情報や開発リソースが豊富に揃っていることから、結果としてOSにWindows
Server 2003を選択することとなった。あわせて.NETフレームワークを開発環境として採用することも決定した。
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| 負荷の掛かる処理の性能を事前に確認 |
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とは言えWindowsが使用に耐えるかどうかを確認する必要性も認識していたこと、そして最新のテクノロジであるIntel社のItanium2を採用したシステムの性能向上に対する期待もあったため、この環境におけるベンチマークテストで確認することとなった。
ベンチマークテストの対象としては、データの更新、移送、ソーティング、及びファイル作成の4つを既存のSQLから選んで検証した。これらはいずれもバッチ処理系のプログラムで、かつ負荷のかかるものを中心に選定した。テストは同じ内容をOracle9i,
Oracle10gに対して、全くチューニングしない条件で実施した。結果は、テストの内容により多少の順位は異なっていたが、おおむねOracle
10g が、相対的に10%程度パフォーマンスが優れていた。この結果Oracle 10gを採用することとした。
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| 期待を上回る10gアドバイザ機能の効果 |
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今回のベンチマークテストで初めてOracle 10gを使用した感想として「インストールや、各種設定がわかり易くなっており、とても親切な設計になっていると感じた。たとえばMemory
Advisorの出したメモリの設定を、そのままOracle9iのシステムに適用しても、パフォーマンスの改善に有効であり、あらためてその効果を実感した。」とシステム技術本部、技術企画部、茶谷
昌弘氏は評価する。
今までのオラクルに対するイメージは、インストールした後で、データベース管理者が自ら各種パラメートを設定していく必要があったが、Oracle
10gでは、Oracle自身がデータベースを診断し、最適な設定や問題解決方法を提示してくれる各種アドバイザ機能の設定に従うだけで良い。このため運用性、管理性が非常に向上していると感じたという。またこれまで使用してきたOracle9iをベースにしたシステムからOracle
10gへの移行についても、特に問題なくスムーズに移行できたと言う。
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| 大規模なシステム刷新成功のポイント |
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今回の大規模な基幹システム刷新の成功ポイントについて、辺見氏は次のように語る。「既存のシステムにとらわれず、一から見直して全体最適を目指したシステムとしてデザインできたことが一番良かったのではないか。」そして今後の展開については--「今回のシステム構築では、データベース、アプリケーションなど、レイヤー毎の役割を確実に守って実装している。たとえばデータベースサーバーにはデータベースのみを配置し、アプリケーションやサービスは配置していない。これは今後の拡張性を考慮したキャパシティ・プランニングを策定する上で重要なことであり、この方針は今後も継続していきたいと考えている。」
また今回のプロジェクトでは、社外からの人材も含めて少数のアーキテクトによるシステムの基本デザインをしたとのこと。これにより、大規模なシステムであるにもかかわらず、全体の一貫性、統一性、相互連携が実現できたのだ。
持てる技術や製品を多岐にわたる事業やサービスへ展開してきた、いかにも大日本印刷らしい、鮮やかな手法である。
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