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マーチャンダイザーの非定型分析を支援するBI環境づくり限られた店舗スペースで多種の商品を販売するコンビニエンスストアチェーンにおいては、売上データの分析力が競争力を左右する。サークルKサンクスでも、データウェアハウスと、そのデータを使って調達・売上げの分析を行うBI(Business Intelligence)環境の整備には早くから力を入れてきた。 「POSデータをもとに構築する情報系システムは、3年ごとに作り替えるのが基本方針です。データウェアハウスをそんなに短期間で作り替えるのかと驚く方もおられますが、フロントのBIツールをその時点で最良のものに替える場合、バックシステムも一緒に作り直したほうが動きが良いのです。情報系システムは、スクラップ & ビルドの考え方で、どんどん進化させていかなければなりません」と、株式会社サークルKサンクスの田代 明氏はデータウェアハウスの重要性をさらりと語る。 3〜4年ごとにデータウェアハウスの再構築を実施しているが、今回は2つのテーマがあった。 ひとつは、サークルKとサンクスの合併における一層の効率化だ。 両社は、2004年9月に純粋持ち株会社と3社で完全な経営統合を実施。約3000店舗のサークルKと、約3,000店舗のサンクスを合わせて、6,300店舗(2006年9月末)を有するコンビニチェーンに生まれ変わった。 もとになるPOSデータが2倍に増えたので、既存データウェアハウスの負荷は増大している。また、加盟店の経営指導をするスーパーバイザー(SV)や、仕入れ計画、商品開発を行うマーチャンダイザー(MD)は、管理指標が変わったため、従来の集計データでは適合していないところが生じて不便を感じていた。 もうひとつのテーマは、MDの非定型分析支援である。 「お客様のニーズはますます多様化し、嗜好の変化もスピードアップしています。旧来の定型的な集計分析では、お客様の求める商品やサービスをそろえることは難しい。ひとつの仮説では、新たなビジネスを生み出しにくくなっているのです」と田代氏は語る。 店別、商品別、時間帯別、客層別など、集計されたサマリーの組み合わせを変えるだけではなく、大胆な仮説を立ててその仮説をシミュレーションして検証したり、多次元解析を駆使して気づきにくいものを発見するような取り組みができるBI環境が求められていたのである。 データベースから定型/非定型分析までオラクルのソリューションで統合サークルKサンクスでは、さまざまなBIツールを比較検討した結果、Oracle Database 10g Enterprise Editionでデータウェアハウスを構築したうえで、Oracle Discovererを中心にしたOracle Business Intelligence Suite を用いて柔軟な非定型分析を行い、高度な多次元分析にはOracle OLAPを用いることにした。 「オラクルのソリューションでデータベースとBIツールを統合することで、親和性の高い情報系システムを構築することができます」と田代氏は言う。データベースとBIツールを同じオラクル製品で統一すれば、レスポンスは良いし、チューニングもしやすい。「継続してチューニングすることで常に最良の環境を整えるのが当社のデータウェアハウスの使い方ですから、フロントとバックを一体のものとして保守できるのはとても重要な評価ポイントでした」と田代氏は言う。 バックエンドからフロントエンドまでをシングルアーキテクチャで統合すると、システムのTCO削減にも効果がある。それぞれのミドルウェアの役割が明確で、機能の重複や過不足のないシンプルな構造のシステムが構築できるため、データマートの作り直しなども容易になる。保守効率を上げ、運用コストを低減して、コストパフォーマンスの高いシステムを構築できるのである。 1日500万〜1000万件のレシートデータを800日分蓄積するデータウェアハウス新しいデータウェアハウス・システムは、2006年9月に稼動を開始した。2006年2月に要件が固まってから、7ヵ月の開発で本格稼動できたのである。 データウェアハウス・サーバーには、富士通のLinux搭載IAサーバー「PRIMEQUEST」を採用した。 「PRIMEQUESTは64ビットItanium 2を32CPU搭載し、メインフレーム並みの性能と信頼性が期待できます」と、株式会社サークルKサンクスの渡部 正則氏は言う。 6,300店舗のPOSデータはすべて、この統合データウェアハウスにいったん蓄積する。1日500万〜1,000万件にのぼるレシートデータを、800日分溜める予定であり、単純計算すると40億〜80億件となる。ストレージ容量は38TB(ミラーリングにより実際には76TB)を用意しているが、すでに10TB分はデータを登録済みだ。 この膨大なデータをOracle Warehouse Builderによって、MDやSVが分析しやすいデータへと整理する。データ形式の縦横変換や集計を行い、さらに、加工データベースの処理を経てデータマートが生成される。MDは、WebブラウザからOracle Discovererを利用して、これらのデータマートを扱えるし、直接データウェアハウスにアクセスして、より自由な非定型分析をすることもできる。 定型処理にはまだ旧システムを用いているが、今後、データウェアハウスサーバーに搭載したOracle OLAPの利用へと移行して、データマイニングから多次元分析まで統一環境でできるようにする方針だ。 「1つのデータベースからMD用、SV用と、まったく違った切り口のデータをスムーズに用意できます。データウェアハウスのパフォーマンスも大幅に改善されました。運用コスト削減と情報提供のスピードアップが実現できたのです」と渡部氏は総括する。 自由な分析環境がマーチャンダイザーの分析能力を伸ばすデータウェアハウスの再構築により、約100名のMDは自由で柔軟な情報分析ができるようになった。 従来は、切り口の違うデータがほしいとMDから要請があると、情報を抽出したり集計してから提供していたため、MDは一定期間待たなければならなかった。現在では必要な情報は自分で操作すれば数分で手に入る。情報システム部門も、個別のプログラミング作業から解放された。 「表面に出てこないことを見つけてこそ、非定型分析の意味があります。今回のデータウェアハウス再構築の最大の効果は、『もっと深く解析してみよう』というMDの意欲を阻害しない環境が実現できたことです」と田代氏は強調する。定型的な分析環境のなかで、MDが「このデータしかないのでこの範囲で分析をしよう」という発想に慣れてしまうと、常に変化している顧客のニーズを把握し、メーカーや店舗のシーズとマッチングさせることがますます困難になってしまう。 「POSデータを見て、『100個売れた』と考えるのが定型分析であれば、『どういう状況で100個のうちの90個が売れたのか』『どういう店舗のオペレーションをすれば、さらに20個上乗せが可能なのか』を考え、答えを見つけ出すのが非定型分析です。自由な非定型分析のできる環境は、MDのリテラシーに役立ち、MDの分析能力を育てることができるのです」と田代氏は力説した。 本事例の内容および役職は、2006年11月時点のものです。 |
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