“これまでにない新たな技術だったり、当初は割高についたりするものでも、成長が見込める場合にはあえてチャレンジすることもあります。長い目で見たときのコストメリット、コストパフォーマンスを見極め、新しい技術を習得する努力が必要です。その考えに基づいて、我々はOracle Gridを選択しました”
ダイハツディーゼル株式会社 情報システム部 部長 南 敏広氏
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| ダイハツディーゼル株式会社 情報システム部 部長 南 敏広氏 |
ユニアデックス株式会社 関西営業統括部 営業部副部長 西中 康弘氏 |
ユニアデックス株式会社 関西ICTシステムサービス統括部 ソフトウェアサービス部 担当部長 DB & UNIX統括プロジェクトリーダー 三宅 権氏 |
ユニアデックス株式会社 関西ICTシステムサービス統括部 ソフトウェアサービス部 第三グループ 主任 塩冶 泰之氏 |
1907(明治40)年3月、「発動機製造株式会社」として誕生したダイハツディーゼル株式会社は、船舶の発電および推進用のディーゼルエンジン、ビルなどで利用される非常発電・ポンプ用ディーゼルエンジンのほか、ガスタービン、ガスエンジンなどを製造・販売する企業だ。近年活況な造船市場に加え、需要が高まる海外市場もあり、とくに主力の船舶関連の領域では、技術力と「品質のブランドダイハツ」の評価を守りながら、増産体制が続いている。
ダイハツディーゼルは拡大、成長を続けるビジネスに対応するために、新たなITシステム基盤を構築した。そこで採用されたのが、オラクルのグリッドテクノロジーである。
近年は工場の生産体制がピークを超える状況にあり、システム側の対応は急務となっていた。海外への展開にともない、システム間のスムーズな連携の要求も高まっていた。そのような状況下で、ダイハツディーゼルでは従来からメインフレームを活用してきた。もちろん、新規システムの開発時やリプレース時期を迎えるシステムなどについては、順次オープン系システムへの移行も進めていた。
「ダイハツディーゼルの製品は、ライフサイクルが長く関連情報も多いので、システムではそれらを長期間きちんと管理する必要があります。ビジネスが拡大し情報量はどんどん増える傾向にあるため、拡張性のあるシステムが求められていました」
ダイハツディーゼル株式会社 情報システム部 部長の南 敏広氏は、新たなITシステム基盤を導入した背景をこのように説明した。メインフレームのリプレース時期を迎え、要求される柔軟性、拡張性をメインフレームで実現するのは難しいと判断したという。従来と同様、アプリケーションを個別のオープン系システムに移行する方法もあったが、5〜6年という中長期的スパンで見ると、別の仕組みが必要と考えたのだ。
「単一のシステムであれば、何もグリッド構成にする必要はありませんでした。我々のビジネスでは、エンジンの製造・販売のほかに保守部品を流通させたり、顧客からの問合せに対応したり、アフターサービスを実施したりと、さまざまな業務があります。これらに関連する多くのアプリケーションをトータルに運用していくには、オラクルのグリッド構成が最適だったのです」(南氏)
同社にとって、システム間連携は重要な要素だった。ただし、プラットフォームが異なると、連携処理に手間がかかる。ならば、プラットフォームを1つにし、データ変換などの処理をなくせばいい。南氏は、オラクルが配布していたOracle Gridの解説小冊子を読み、自分たちのITシステム基盤にはこれだと直感したという。
1つのITシステム基盤を構築することで、複数のアプリケーションを運用したうえで拡張性、柔軟性も確保できる。基盤が確立すれば、すべてを一気に開発しなくても、必要なものを順次基盤に載せていけるのも効果的と判断した。さらに、オープン・スタンダードに準拠しているので、さまざまな開発用フレームワークを利用できるメリットもある。
今回のITシステム基盤の構築を担当したユニアデックス株式会社 関西ICTシステムサービス統括部 ソフトウェアサービス部 担当部長の三宅 権氏は、これまでにない新しい技術であるOracle Gridの大規模な導入に際して、かなり慎重に作業を進めたという。
「最新技術であり、世間にノウハウが蓄積されていない段階で、短期間での構築ということもあり、事前の設計、サイジングは慎重かつ入念に行い、リスクヘッジに努めました。それが安定稼働につながりました」(三宅氏)
また、ユニアデックス株式会社 関西営業統括本部 営業部副部長の西中 康弘氏は、「当社としてもチャレンジする機会をいただき、Oracle Gridという新しい情報基盤を活用する道を、お客様とともに切り開くことができたと感じています」と語る。
「ホスト系システムのいいところは、安定していることです。ホストで利用しているディスクも信頼性は高いものです。オープン系に移行しても、これらに匹敵する信頼性を実現する必要がありました」と南氏は言う。単に柔軟性、拡張性を確保できるだけでは不十分で、同時にいかに信頼性を確保するかが重要だという。その結果、6ノードの「Oracle Real Application Clusters 10g」(以下、Oracle RAC)によるデータベース・グリッド、8ノードの「Oracle Application Server 10g」によるアプリケーション・グリッド、そしてすべてをトータルに一元管理する「Oracle Enterprise Manager 10g」という構成が採用された。
2007年4月から構築を開始したOracle GridによるITシステム基盤は、およそ1カ月間という、きわめて短期間で構築できたという。
今後はその基盤の上に順次アプリケーションが載せられ、2007年度中には、全てのアプリケーションが稼動することになる。
さらに、複数のアプリケーションでのユーザー管理を一元化するシングル・サインオンの仕組みも導入され、ここでは「Oracle Identity and Access Management Suite 10g」が採用された。このOracle Grid環境で特徴的な点が、通常のトランザクションの処理だけでなく、バッチ系の処理も同じ基盤上でおこなわれていることだ。
「トランザクション系もバッチ系もデータは共通なので、同じ基盤に載せました。複数のシステムが関連する際には、バッチ系の処理でデータの整合性をとるのは難しいため、共通のデータベースで実施するべきだと考えたのです」(南氏)
このバッチ処理に割り当てられている2つのノードは、万一トランザクション系のノードに障害が発生した際には、バックアップノードとして働く。これにより、Oracle RACのもつ冗長性をさらに補完し、より高度な信頼性、可用性を確保する構成となっている。
実際にOracle Grid上でアプリケーションを稼動させてきた印象を、南氏は次のように語っている。
「検索処理などはチューニングの余地がまだまだありそうですが、バックアップ作業などはかなり速くなっています。また、たまたまハードウェアの初期トラブルが発生したときにも、システム自体は止まることなく運用を続けられました。図らずもグリッドの信頼性、可用性を証明したことになります」
レスポンス速度などの処理性能は、あらかじめ想定したとおりの数値が得られている。大量データの検索処理については、アプリケーション側のチューニング処理などで、さらにパフォーマンスが発揮できると期待している。ユーザーの一元管理も実現でき、システム全体として管理しやすいものになった。
さらに、誰がどこで何をしたかといった詳細レベルのログの収集、一元管理が可能になり、内部統制面での効果も高い。これまでは紙で資料をファイリングしたり、Excelファイルを使い回したりといった作業をおこなってきたが、そういった関連情報もすべてデータベースに格納して管理できるようになった。
ダイハツディーゼルは、常に新しい技術にチャレンジしてきた会社だと南氏は言う。新しい技術にいち早く取り組み、それを自社のものにしていければ、競争を勝ち抜くための武器になる。今回構築したITシステム基盤の次のステップとして、分析ツールなどを導入し複数のアプリケーションを横串に見るような高度な分析環境の構築にもチャレンジしていく予定だ。これにより、経営層にタイムリーに情報を提供し、迅速な経営判断を支援する仕組みを提供したいとのことだ。ダイハツディーゼルは、Oracle GridのITシステム基盤をさらに活用し、拡大するビジネスのなかで新たなるチャレンジを続けていく。
本事例の内容および役職は、2007年9月時点のものです。