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“確実にバッチ処理は早くなりました。 総合エネルギー企業として、ビジネスの幅をさらに広げる基盤ができました ”
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400万のエンドユーザーとの接点新日本石油株式会社のブランド名「ENEOS」は、「ENERGY(エネルギー)」と、ギリシャ語で“新しい”という意味の「NEOS」を融合させたものだ。その名のとおり、新日本石油はコアビジネスである石油事業をはじめ、天然ガスから電気、燃料電池、コージェネレーションまで、総合エネルギー企業として日本のエネルギー開発の最先端を走り続けている。 同社の顧客サービスの1つが「ENEOSカード」だ。全国10,457カ所(2007年2月末現在)のENEOSサービスステーション(以下、SS)での給油支払いのほか、無料ロードサービスやポイント特典も付帯。法人向けクレジットカード「ENEOSビジネス」、運送会社・法人向けカード「ENEOS FC」、職域向け個人カード「ENEOSアソック」と、法人向けサービスも充実している。 どのカードも人気が高く、ユーザー数は個人、法人あわせて約400万にのぼる。新日本石油 経営管理第2本部 情報システム部 IT推進グループ チーフスタッフ 南雲 崇氏は、「製造・卸売業である当社にとって、カードビジネスはひとりひとりのお客様との貴重な接点なのです」という。 処理能力の向上は重大な要件 コストを抑えながら耐障害性も向上一連のENEOSカードのクレジット決済処理を担うのが「ENEOSカードシステム」だ。SSで発生したクレジット取引について、売上げの確定、クレジット会社への請求・入金、SSへの送金など、決済にかかわる中心的役割を果たしている。 重要な機能をもつENEOSカードシステムだが、2001年構築のため運用を重ねるうちに老朽化が目につくようになった。また、事業環境の変化もシステム上の課題を招いていた。 課題の第1は処理能力である。もともとのデータ件数の多さに加え、カード特典の変更、SS向けの管理帳票出力などの機能追加、千〜3千円など定額での給油増加などがあいまって、システムには相当な負荷がかかっていた。データベースはOracle8i Databaseを採用していたが、パフォーマンスの劣化は避けがたい。さらに経営上の課題として決算処理のスピードアップも要求されており、処理能力の向上は大きな要件だった。 第2の課題が耐障害性である。メインサーバーが1台であるため、BCP(事業継続計画)の面で不安があった。クレジット決済処理を担う“止められないシステム”だけに、万が一の事態が起きても安定稼動できる仕組みが求められた。 第3は拡張性だ。カード会員やSSの増加、システム機能の追加などが今後も見込まれた。そこで、業務拡大や処理量の増大にも柔軟に対応できる基盤が必要とされた。 第4の課題が経済性である。原油の高騰を受け、システム投資を必要最小限に、できれば現状より抑えることが求められていた。新日本石油 経営管理第2本部 情報システム部 IT推進グループ シニアスタッフ 川本 慎也氏は、「できるだけ安価で、しかも高度な営業戦略に応えられるシステムを構築することが情報システム部の使命なのです」と説明する。 HA構成とグリッド構成を相対比較2005年秋、これらの課題を解決すべく、新日本石油はENEOSカードシステムの刷新に乗り出した。構築を手がけたのは、合併当初からこのシステムの構築・運用を担当してきた、株式会社野村総合研究所(以下、NRI)である。 「冗長化対策」と「処理能力向上」、そして費用抑制という相反する要件にどう対応するか――。「最適解を求めて2カ月におよぶフィジビリティ・テストをおこなった結果、『Oracle Database 10g Enterprise Edition』を活用したグリッド構成の採用を決断しました」と説明するのは、NRI 産業システム事業二部 エネルギーソリューショングループ グループマネージャー 吉原 裕淳氏だ。 フィジビリティ・テストでは、日本オラクルと伊藤忠テクノソリューションズ株式会社の協力を得て、ENEOSカードシステムの本番環境をアクティブ・スタンバイのHA構成とグリッド構成で構築。処理速度や耐障害性、拡張性、ROIなどを綿密に相対比較した結果、グリッド構成の優位性が認められた。NRI 産業システム事業二部 主任システムエンジニア 杉原 茂氏は「サーバー単体のグレードにこだわるのでなく、全体最適化を図ったことが新システムのポイントです」と語る。 表はフィジビリティ・テストの結果の一部である。右肩上がりの数値に新日本石油側も納得した。南雲氏は「オラクル製品はもともと利用していましたし、NRIも付き合いが深く信用していますが、それでも率先して検証してくださったことがありがたかった」と振り返る。 設計・開発にあたってはオープンかつシンプルな構造を目指した。リリース後の5年間でデータ量の20%増大に対応できるよう、少なくとも旧サーバーの処理能力の2倍以上の処理性能を想定。Network ApplianceのNASストレージを導入し、2台のサーバーは処理に注力できる仕組みにした。システム全体の処理をコントロールするのは、NRIのシステム運用管理ツール「eXsenju」だ。 データベースはもちろんOracle Database 10g Enterprise Editionを、さらにグリッド環境でのワークロード管理の自動化や拡張性の向上を実現する「Oracle Real Application Clusters 10g」と、検索スピードを高める「Oracle Partitioning」も採用した。杉原氏は「10gシリーズは高い専門性がなくても導入できるとわかりました。これはうれしい誤算でしたね」と、扱いやすさと処理性能が高次で両立するオラクルの技術を評価している。 決済手段やエネルギー製品が多様化 システム基盤を固めてビジネス拡大へ新ENEOSカードシステムは、2006年10月に稼動を開始。リニューアルの成果は如実に表れた。 「確実にバッチ処理は早くなりました。システムの安定感も格段に向上しています」(南雲氏) リリース後2台のサーバーを3台に追加変更し、他システムの機能を本システムに取り込んだ。トータルコストセーブを実現できたばかりでなく、全体的な冗長化が実現できた。 この対応には、サーバーの設定を変更が伴ったがシステムの計画停止も安全におこなうことができた。求める性能要件に基づいて既存資産を無駄なく活用、拡張できるグリッド構成の利点が早速実証された形だ。処理性能を上げるためのチューニングや、メンテナンスのたびにサイト上でサービス停止を告知するといった運用の負荷も軽減した。 こうしたシステム上のメリットは、新日本石油のビジネス上のメリットにもつながっている。川本氏は「システムが冗長化されたことで、経営戦略や販売部門の施策に柔軟に対応できる状態になりました。グリッド化は正しい選択だったと思います」と顔をほころばせる。SSでは、小額決済が多い電子マネーなどもこれから多く取り扱う事となる。今回のリニューアルにより消費者の決済手段の多様化ニーズにも応じられるバックグランドができあがった。 バラエティが広がるのは決済手段だけではない。2007年4月からは首都圏のSSでバイオガソリンの取扱いが始まり、今後はエネルギー製品のラインナップも多様化していく。したがって処理件数はより増加し、カードシステムの重要度も高まることが予想される。南雲氏は、「今回のリニューアルによってビジネスの幅をさらに広げる基盤ができました。総合エネルギー企業として、お客様に十分満足いただけるサービスを多彩に提供していきます」と、力強く締めくくった。 本事例の内容および役職は、2007年4月時点のものです。 |
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