“失敗が許されない状況の中で、オラクルが「我々のシステムを理解して」サポートしてくれたことは、非常に大きな安心感をもたらしましたし、このアップグレード・プロジェクトを成功させるためには必要だったと思います”
日揮情報システム株式会社 ソリューション本部 ビジネスソリューション第3部 マネージャー 山本 香氏
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| 日揮株式会社 管理本部 CAPS運用チーム マネージャー 藤井 永弘氏 |
日揮情報システム株式会社 ソリューション本部 ビジネスソリューション第3部 マネージャー 山本 香氏 |
日揮情報システム株式会社 ソリューション本部 ビジネスソリューション第3部 ソフトウェアエンジニア 岩井 知子氏 |
日揮情報システム株式会社 ソリューション本部 ビジネスソリューション第3部 ソフトウェアエンジニア 江本 美奈子氏 |
日揮株式会社(JGC)は、国内外のエネルギー・プラント建設をはじめ、資源開発、LNG、石油精製、石油化学、発電などを手がけるエンジニアリング・ビジネスのリーディング企業だ。同社の管理本部CAPS運用チーム マネージャーで本プロジェクトの日揮プロジェクトマネージャーの藤井永弘氏が「日揮に任せれば、困難な仕事でもかならず完遂してくれると海外の企業から高く評価されている」と言うように、国内外からの信頼も厚い。
日揮では、2001年4月に「Oracle E-Business Suite」(以下、Oracle EBS)を導入し、CAPS(Corporate Administration & Planning Systems)という独自のシステムを構築して、従来のホスト・コンピュータからUNIXサーバーによる管理に移行している。6年後の2007年5月、12日間というタイトなスケジュールでOracle EBS(Oracle Financials(統合会計)、Project Management (プロジェクト管理)、Oracle Human Resources Management(人事管理)のアップグレードを実施したが、そのプロジェクトを支援するために採用したのが「Oracle Advanced Customer Services」(以下、Oracle ACS)である。
日揮では、それまで利用していたOracle EBSR11.0.3のサポート期間が終了する前に、R11i.10にアップグレードする必要があった。「サポート期間が終了すれば、セキュリティ・パッチや法改正に対応したパッチの提供を受けられなくなります。マシン自体も古くなっていたので、アップグレードを決めました」(藤井氏)。
だが、そのスケジュールは厳しいものだった。CAPSシステムの管理運用をおこなっているグループ企業の日揮情報システム株式会社(以下、J-SYS)ソリューション本部 ビジネスソリューション第3部 マネージャーで本プロジェクトのJ-SYSプロジェクトマネージャーの山本香氏は、当時を次のように振り返る。
「オラクルのサポートが受けられるアップグレード用のユーティリティを利用する方法がベストと考えました。本番のアップグレードではシステムをいったん停止する必要があったのですが、6年間の運用でシステムが大きくなり、数千に及ぶテーブルを移行しなければならないため、安全を期すには16日間必要という話になったのです」
日揮では、Oracle EBSの「Oracle Financials(統合会計)、Project Management (プロジェクト管理)」と「Oracle Human Resources Management(人事管理)」を利用していたが、アップグレードが急務だったのは法改正のパッチが必要な人事管理システムだったという。しかし、2つのシステムは連動しているので、別々にアップグレードしたのでは、コスト的にも作業面でも大きな無駄が生じてしまう。両方同時にアップグレードするには、それなりの日数が必要だった。
これに対し、長期間のシステム停止により業務に支障が出ることを危惧した日揮側から、もっと停止期間を短くするように求められる。
「スケジュールを組み直し、バックアップのタイミングなども調整して、停止期間を12日間に短縮することができました。ただし基幹システムですので、本番のアップグレードは絶対に失敗できません。万全な態勢で望めるように、数カ月前からテストを繰り返して検証しました」(山本氏)
J-SYSではアップグレードの準備として、1,000を超えるアドオン機能についてR11.0.3とR11i.10で機能やテーブル構造にどのような違いが出るかの差分を洗い出す作業を開始した。ここで問題となったのが、アプリケーション機能の差分の影響を特定することが難しいという点だ。「一般的な差分の原因はこちらで詰めることができますが、その差分がシステム全体に及ぼす影響等についてはオラクルの技術者に確認しなければなりません。しかし、アドオン開発した部分もあるので、オラクル側でも原因を調べるのに時間がかかり、しばらく回答を待つ場合もありました。迅速なサポートを受けるには、今回のプロジェクトやシステムを理解してもらう必要があると相談したところ、Oracle ACSの利用を提案してもらいました」(山本氏)。
そこで、テスト期間から本番まで優先的なサポートを受けられるOracle ACSの「Oracle Priority Service」と、本番時にオラクルの技術者をオンサイトに置ける「Oracle Assisted Services」の2つのサービスが採用された。後者を採用した理由を、山本氏は次のように話す。
「ユーザー様にご協力いただいて、3回に及ぶアップグレード実行テストと3回のリハーサルをおこなっていたので、本番に向けての準備は万全でした。しかし、アップグレード・ユーティリティは環境によって最適なアップグレードをおこなうように作られているため、テスト環境で問題がなくても本番環境では何が起こるかわかりません。失敗が許されない状況の中で、リアルタイムにサポートしてもらうためにOracle Assisted Servicesも選択しました」
アップグレード・プロジェクトを進めるJ-SYSにとって、Oracle ACSによる支援は心強く感じられたようだ。アップグレード・ユーティリティの内部処理が及ぼす結果の差分についてはオラクル技術者の確認が必要だったからだ。たとえば、3回実施したリハーサルのうち、アップグレード・ユーティリティ実行後に2回目と3回目のデータが異なるという現象が発生したときの対応について、運用保守で人事管理システムを担当し、本プロジェクトのJ-SYS人事管理システムリーダーのJ-SYS ソリューション本部 ビジネスソリューション第3部 ソフトウェアエンジニアの江本 美奈子氏は次のように語る。「本番で同じことが起こると取返しがつかないので、すぐにオラクルに相談してデータを解析してもらいました。その結果、どちらの状況が発生しても本番でオンサイトの技術者に対応してもらえる準備をしてくれました。カスタマーサポートの中でも人事管理に詳しいトップクラスの方が入ってくれて、我々と同じスタンスでデータの確認などをしてくれたのは、非常に助かりました」。
運用保守で統合会計システムを担当し、本プロジェクトのJ-SYS統合会計システム、プロジェクト会計システムリーダーのJ-SYS ソリューション本部 ビジネスソリューション第3部 ソフトウェアエンジニアの岩井 知子氏も、オラクルの対応に満足しているようだ。「優先サポートということで、今回のプロジェクトについて心得ている担当者がきちんと対応してくれた点は評価できると思います。場当たり的な対応ではなく、根本的なサポート体制を敷いていただいたので、製品の情報などを伝えなくても話が通りやすく、その場で回答が得られなくても技術者の方に直接連絡してもらえるなど、対応がスムーズでした」。
もちろん、J-SYSはSIerとして多くの実績をもち、高い技術力でさまざまな企業を支援している。それでも、今回のプロジェクトにはOracle ACSが不可欠だったと山本氏は感じているようだ。「本番アップグレード実施にあたり、日揮とJ-SYSによる準備、対応を充分実施したことで成功の確度は高くなっていたと思います。しかし、失敗が許されない状況の中でオラクルが“我々のシステムを理解して”サポートしてくれたことは、非常に大きな安心感をもたらしましたし、実際にアップグレード・ユーティリティ実行時に発生した事象に迅速に対応してもらうことができ、このプロジェクトを成功させるためには必要だったと思います。また、個別対応で必要なサポートだけを提供してもらえたこともよかったですね」。
システムをアップグレードしたことで「これまでは数時間かかっていたコンカレント処理が10分程度で終了するようになったので、各担当者は大変喜んでいる」(藤井氏)という日揮では、浮いた時間を他の作業に回したり、決算スケジュールを見直して数日間前倒したりすることも計画している。
J-SYSでも、Oracle ACSを活用したさらなるビジネスの展開を考えている。「この機会にシステムの見直しもおこなったので、アップグレード後は障害もなく安定稼動しています。また、何回ものテストを通じて、Oracle EBS R11i.10に対する理解度も深まりました。J-SYSには外部のお客様もおられるので、R11i.10の新機能をベースにどのようなサービスが展開できるかも考えていかなければなりません。今回、Oracle Priority ServiceとOracle Assisted Servicesを採用することによって、“顔の見える”サポートが重要であることも実感できたので、外部のお客様の対応時にもこのサービスをどんどん紹介していきたいですね」と山本氏が話すように、今後多くのミッション・クリティカルなプロジェクトや運用においてOracle ACSが頼もしい援軍としてサポートをおこなっていくことが期待されている。
本事例の内容および役職は、2007年10月時点のものです。