先進的なカード事業を推進する丸井グループ
丸井グループは、1960年に日本で最初のクレジットカードを発行し、1966年には業界で初めてコンピュータを導入するなど、日本の小売業のなかでも最先端のビジネスとIT戦略を展開してきた。そして2005年にVISA発行権を取得し、2006年4月よりIC付き汎用カード「EPOS CARD」(エポスカード)の店頭即時発行を開始した。
「従来の赤いカードは、店頭即時発行や自由な分割払いなど丸井店舗でのサービスは充実していましたが、お客様の年齢が上がるにつれて、丸井店舗のご利用が減り、同時にカードも利用されなくなるケースが多く見受けられました。そうした課題を解決するために、全国のVISA加盟店で継続利用できるエポスカードの発行は、お客様と末永くお付き合いをしていくうえで重要な取り組みだったのです」と、株式会社エムアンドシーシステム システム企画本部 取締役本部長の高橋純一氏は説明する。
丸井のカードは、店頭での即時発行という強みと、主力客層の関係から、首都圏ヤング層が最初に作るカードとしての高いシェアを占めている。高い付加価値のあるエポスカードを発行することにより、カードの生涯利用を目指す。そして、その情報システム基盤として、株式会社エムアンドシーシステムは、オラクルによるオープンシステムを全面的に採用した。
オープン化に求められた
技術要件とオラクル採用の理由
丸井グループのカードシステムは、最初の構築以来、汎用機で開発・運用されてきた。
「メインフレームで長年にわたって機能の追加を繰り返してきた結果、システムは複雑かつ肥大化していて、継続的な開発・保守体制の維持やスピードが要求されるニーズへの対応に限界が見えていました。そこで、2003年に丸井のトップマネジメントに対して、営業系と顧客系の基幹システムを再構築する提案をおこないました」と高橋氏は話す。
汎用機による情報処理には、システムのメンテナンス負荷の増大、機能拡張の限界、長期的開発体制の確保、という3つの大きな課題があった。エムアンドシーシステムではこうした課題を根本から解決するために、オープンシステムでのシステム再構築が必要と判断した。オープンシステムへの移行にあたっては、汎用機に匹敵する処理性能と高信頼性をどのように確保するかが、重要なミッションとなった。
「オープン系システムでは、リレーショナル・データベース(RDB)の採用が基本条件でした。さらに開発言語をJavaにして、アクセス端末はWebブラウザによる3階層方式を採用しました。将来、主流となる一般的なオープン系の技術を使うことで、長期的な保守性を確保したかったのです」と、システムセンター事業部 事業部長の谷俊行氏は説明する。
基幹系システムの再構築にあたっては、特定ベンダーに左右されない高い移植性の確保や、端末ソフトのメンテナンスが容易なWeb形式と、処理負荷に応じた柔軟な機器構成が可能なJ2EE環境を採用した。
「ピーク時の処理件数に対応できる高性能と拡張性が、RDB選択においては大きなテーマでした。汎用機に匹敵する性能と信頼性をもつオープンシステムとしては、オラクル以外の選択肢はなかったと思っています」と高橋氏は語る。
カードシステムをオープン化するにあたっては、何よりも汎用機に匹敵する信頼性と性能の確保を目指した。具体的には、Oracle Database 10gを4ノードのRAC構成にして、耐障害性を高めると同時に、負荷分散による性能の4倍アップを実現した。
丸井グループにとって、VISA付きICカードに変わっても、店頭での即時発行は譲れない機能だった。そのために、データベースには安定したレスポンスを保証する性能と汎用機並みの信頼性が求められたのだ。
「オラクルを採用した理由として、性能や技術だけではなく、行レベルロックやPL/SQLなどの優位性に加え、開発力に優れた技術者が多いことも重要な判断基準でした」と高橋氏は補足する。
ミドルウェア統合のメリットを評価して
Oracle Application Server 10gを採用
エムアンドシーシステムにとって重要な決断が、J2EE実行環境としてOracle Application Server 10gを選択したことだった。
「2003年3月から着手した営業情報システムでは、ミドルウェア間の接続設定やOS側設定との取り決め、調整などにたいへん苦労しました。テストの際にも複数のベンダーを巻き込んで原因を調査する必要があり、どちらの側で対処すべきかなどの調整も必要になりました」と谷氏は背景について話す。
同社は、カード系基幹システムのオープン化に先行して、商品・営業系の基幹システムをオープン化して2004年から稼動させていた。この構築には、13ものハードおよびソフトベンダーが参加し、構築プロジェクトに携わったエムアンドシーシステム社員はオープン系の経験が乏しいこともあって、ベンダー間の調整に苦労した。稼動後も、オンライン業務でレスポンスの悪化やタイムアウトが発生した際の調査で苦労が続いた。そこで、構築・管理の一本化によるスムーズな稼動と監視・調査のレベルアップを目的に、カード系基幹システムのアプリケーション・サーバーには、データベースと同じオラクルのOracle Application Server 10gが採用された。データベースとアプリケーション・サーバーのミドルウェアベンダーを統一することで、オラクルが責任をもって最適な構築を支援する体制となり、システム管理・監視の一元化も実現できた。
「オラクルのミドルウェアに統合することで、ミドルウェアコストも節約できました。また、インフラ構築にあたっては、オラクルからサポートチームを派遣してもらい、一貫したコンサルティングと開発支援が得られました。そのおかげで、短期間での開発にも関わらず、オープン化に伴う問題を解決して稼動させることができました」と高橋氏はミドルウェア統合のメリットを評価する。
安定稼動と運用負荷の軽減のために
Oracle Enterprise Manager 10gを活用
ミドルウェアをオラクル製品に統合したことで、カード系基幹システムの運用監視にはOracle Enterprise Manager 10gも導入された。
「重要性の高い、カードシステムをオープンシステムにすることで、当初は不安もありましたが、Oracle Enterprise Manager 10gのデモンストレーションを見たときに、運用側のノウハウ不足を補ってくれるだろうという期待で、採用を決めました」と谷氏は説明する。また「Oracle Enterprise Manager 10gでシステム全体の一括監視・対応の早期化がはかれたこと、そして日本オラクルのコンサルティング力の導入でスムーズな構築ができたことが成功です」と高橋氏はミドルウエア統合の成果について振り返る。
丸井グループのシステムサービス企業として、エムアンドシーシステムでは、今後も顧客ニーズに対応したシステムの改善や経営戦略に応えられるIT基盤の発展、安定した運用管理の実現に取り組んでいく。


本事例の内容および役職は、2007年5月時点のものです。
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