事例:三井住友海上火災保険の選択

Oracle Database 10g / Oracle Real Application Clusters 10g Oracle Enterprise Manager 10g

三井住友海上火災保険のB2Cサービスが求める、止められないシステムの信頼性を、Oracle RACとOracle Enterprise Managerの組合せ、そしてコンサルティング・サービスで実現した。

”データ処理量が多いシステムだから止められないのではなく、重要な処理をおこなうシステムは処理量にかかわらず停止できません。止めてはいけないシステムとは何かを見極め、今後もOracle RACの適用を検討していきたい”
三井住友海上システムズ株式会社 代理店システム部 eビジネスシステムグループ マネージャー 中村 繁保氏

中村 繁保氏 坂本 信寛氏
三井住友海上システムズ株式会社
代理店システム部
eビジネスシステムグループ
マネージャー
中村 繁保氏
三井住友海上システムズ株式会社
代理店システム部
eビジネスシステムグループ
システムプランナー
坂本 信寛氏
今回のお客様
会社名:
三井住友海上火災保険株式会社
本社:
東京都中央区新川2−27−2
設立:
1918年10月21日
資本金:
1,395億9,552万3,495円
売上高:
13,250億万円 (2006年度正味収入保険料)
社員数:
13,414人
事業内容:
三井グループと住友グループに所属する大手損害保険会社。個人、法人向けの損害保険を扱い、国内の損害保険事業を中心に、海外での生損保事業、金融サービス事業など国内外で幅広く事業展開。総合的なグループ力を活かし、生活やビジネスのあらゆる場面で顧客をサポートし、お客さま基点に立ったサービスの品質向上を目指している。
製品とサービス:
・Oracle Database 10g
・Oracle Real Application Clusters 10g
・Oracle Enterprise Manager 10g
導入効果:
・24時間365日の安定したシステム稼動の実現
・オラクルのコンサルティング・サービスによる、迅速かつ効率的なプロジェクトの実施
・Oracle Enterprise Manager 10gを使ったトラブル発生の事前対応を実現

会社名:
三井住友海上システムズ株式会社
本社:
東京都千代田区神田錦町3−24−4
設立:
1986年7月
資本金:
1億円
売上高:
27億6,283万円(2007年3月期)
社員数:
443名(2007年7月1日現在)
事業内容:
三井住友海上火災保険の保険システム全般にわたる企画、設計、開発、運用。

他社との競争ではなく、お客さまの信頼を得ることでビジネスの成長を目指す

三井住友海上火災保険株式会社。2007年4月に中期経営計画「ニューチャレンジ10」を策定し、「お客さま基点に立つ品質向上」を掲げ、その上で事業を成長させつつCSR経営の実現を目指している。昨今、損害保険市場は、規制緩和もあり競争が激化している。そのような状況下で他社との競争でお客さまを獲得するのではなく、自社のサービスの品質を高めることでお客さまの信頼を得る。その結果として、ビジネスを成長させるという。

そんな顧客志向のサービスの1つが、身近にあるコンビニエンスストア(セブン-イレブン)でできるバイクの自賠責保険加入の手続きだ。自賠責保険は、万一の事故の際に被害者への最低限の補償をおこなうために、法律でその加入が義務づけられている。車検時に更新の手続きをする自動車とは異なり、バイクでは所有者が自ら手続きをおこない保険を更新する。そのため、身近にあるセブン-イレブンで簡単に手続きできれば、利便性は向上する。そのような背景から、バイクの自賠責保険の契約窓口として、コンビニエンスストアは重要なチャネルの1つになっているという。

信頼性、可用性の向上とリソースの有効活用で性能問題も同時に解決する

セブン-イレブンでの自賠責保険の契約手続きは、店舗に設置している多機能コピー機で手続きを行うもので、新規に全ての情報を入力する方法、あらかじめインターネットで契約情報を予約登録しておき、それをもとに多機能コピー機より呼び出す方法、更新案内のはがきを持っていき、更新内容を呼び出して加入手続きする方法があり、セルフサービスで保険加入の手続きをおこなうシステムとなっている。

「自賠責保険システムを導入することを目的としたサーバーでしたが、システム対応する時期が先送りになり、その結果インターネット経由でゴルファー保険や海外旅行保険などの加入手続きを行えるシステムを先行リリースしました。その後本システムの開発となりましたが、システムにはまだ余裕があったことから、本サーバー上に追加開発することとしました。他のアプリケーションと相乗りする形になりましたが、そのため、他のアプリケーションのトラブルが、システム全体に影響を及ぼすリスクも抱えてしまいました」。

三井住友海上システムズ株式会社 代理店システム部 eビジネスシステムグループ マネージャーの中村 繁保氏は、自賠責保険システムにあったかつての問題点をこのように説明した。本システムは、他のアプリケーションと同居した状態で運用を開始した。しかし、その後、トラブルが発生してしまった。これは、一定のトランザクション量の増加が予想される中で、本番環境でシステムを長時間止め、本格的な負荷テストを実施できなかったことが原因であった。その後、障害原因はほぼ判明したものの、当時の構成設計ではチューニングできる内容は限られていた。抜本対策が行えないまま対症療法で運用を続けることにも限界があり、抜本見直しの必要に迫られていた。

当然ながら、コンビニエンスストアやインターネットが窓口となるため、24時間365日の安定した稼動が要求される。この可用性確保のためにホットスタンバイ方式のHA(High Availability)システム構成がとられていた。

「サーバー構築時の障害テストで、HA構成でのリカバリ内容は確認していました。しかし、実際の障害時にどのくらいの時間でリカバリできるのか、さらに障害の原因が特定できない状態で待機サーバーに切り替えるだけで問題解決できるのか、サービス継続に問題は無いのかは確信が持てませんでした」(中村氏)

このような課題解決のために新たに採用されたのが、「Oracle Real Application Clusters 10g(以下、Oracle RAC)」だ。これは、可用性向上のための単なるサーバーの二重化ではない。待機系のリソースも活用し、性能に起因する問題も同時に解決する。

Oracle RACとOracle Enterprise Managerの導入で止まらないシステムを実現

「ホットスタンバイではサービスレベルを満たせない。もっと信じられる仕組みが欲しかった。自賠責保険システムは顧客に直接対応するので、きわめて高い可用性を求めなければなりませんでした」

三井住友海上システムズ 代理店システム部 eビジネスシステムグループ システムプランナーの坂本 信寛氏は、Oracle RAC導入の理由をこう説明する。B to Cの最前線のシステムであり、止められない。これにはコストがかかっても、対策を施すという判断だ。

「システムのトラブルで保険の加入手続きができなければ、無保険期間が発生する可能性もあり、場合によってはお客様が法律違反(自賠責証明書携行義務違反)を犯してしまうかもしれません。さらに、窓口のセブンイレブンではシステムのトラブルに何ら対処できないので、不具合が発生すれば競合他社の店に行ってもらうしかありません。これは、重大なビジネス機会の損失はもとより、お客さまの信頼を失うことになります」(中村氏)

また、せっかく2台分のサーバーリソースがあるので、それをフルに活用したいということもOracle RACを導入した大きな理由であった。さらに今回のシステムでは、可用性を高めるだけでなく、Oracle Enterprise Manager 10gを活用し、障害を予測した事前対策も試みている。

「徐々にデータが増えると、システムにはトラブルが発生するものです。そういったことも、Oracle Enterprise Manager 10gで事前に対策できます。さらにSQLレスポンスの閾値を設定し監視することで、レスポンス低下を事前に予測し対策できるのもきわめて有効です」(坂本氏)

システムの運用状態の詳細な分析がおこなえ、トラブル前に予兆を検知し、対策できるというのは、止められないシステムの運用ではきわめて効果が高いという。これらの効果もあり「今回のシステム構成になってからは、いままでノートラブルです」と中村氏は言う。

オラクルのコンサルティング・サービスを活用しシステム全体を最適化

今回のHA構成からOracle RACへの移行に際し、オラクルのコンサルティング・サービスが採用されている。これは、Oracle RACへの移行をなるべく短期間に実施するためには、開発ベンダーへのサポートが必要と判断したためだ。オラクルのコンサルティング・サービスに期待したのは、もちろんOracle RACを含むデータベース製品周辺の技術支援だ。

ところがコンサルティング・サービスは、プロジェクトのスムーズな遂行に期待以上の効果があったという。オラクルのコンサルティング・サービスでは、基本的にはデータベースの最適化をおこなう。しかしながら、データベースだけ最適化しても、システム全体が最適化されるわけではない。データベース最適化の効果を高めるには、その上で動くアプリケーションのレベルから全体を把握し、トータルでシステムの最適化を考える必要があるのだ。

「通常はシステム開発のプロジェクトが詳細設計のレベルに入ると、我々からは中身が見えにくくなります。今回はオラクルのコンサルタントのおかげで、システムの上流から下流までのタスクがすべて完全に把握できました」(坂本氏)

本来やるべきことをきちんとやる。運用要件や障害復旧要件を明確化した上で事前検証を十分におこなう。そして不明瞭な部分をなくし検証をおこない、ドキュメントも事前に準備する。プロジェクトを進める上では当たり前だが、納期に追われるとなかなか徹底できない。その部分をオラクルのコンサルタントが、うまくリードしてくれたとのこと。その結果、プロジェクトは2006年7月から2007年3月までという当初計画の9ヶ月間で完了し、予定通りにカットオーバーしたのだ。

「稼動後の継続的な運用も含め、チューニングなどの事前対応はきわめて効果が大きい。ノウハウの提供ももちろんですが、それを短期間で実現できるのが、コンサルティング・サービス利用の価値だと思います」(中村氏)

三井住友海上火災保険では、顧客基点のサービスを重視しているため、今後も止められない重要なシステムが増えていくと予測される。そういった重要なシステムには、Oracle RACを積極的に検討していくとのこと。その際にオラクルのコンサルタントは、あたかも三井住友海上火災保険の社員のような立場で、システムをよりよくするためのサポートをおこなうことが期待されている。

本事例の内容および役職は、2007年6月時点のものです。