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“2カ月で最初のバージョンをリリースできたときには、これでいけると実感しました”
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経営環境の変化と企業の成長に素早く対応するには株式会社ニューシティコーポレーション(以下、NCC)は「不動産マーチャントバンキング」という新しいタイプの不動産事業を展開する企業である。土地や建物の売買、分譲、賃貸、それらの仲介といったベーシックな不動産事業だけでなく、不動産投資ビジネスとインベストメント・マネジメントを統合し、投資家に最適な投資機会を提供、オーダーメイドの投資商品を開発する新たなビジネスモデルを構築・推進している。 この新たなビジネスで急成長を続ける同社は、オラクルのSOA技術を用いて業務プロセスの可視化を実現し、プロセスの変化にも柔軟に対応可能な不動産案件管理システム「NCCトランザクション・マネジメント・システム(NCC TMS)」を構築した。 これ以前にも案件情報を蓄積、管理するデータベース・システムはあったが、各部門の担当者は業務プロセスのなかで必要なデータをExcelに移し、手作業で案件管理をおこなっていた。この方法ではスピードに限界があり、手作業による人為的なミスで案件への対応に遅れが生じるケースもあった。さらに、プロセスの状態を瞬時に俯瞰できるような透明性にも欠けていた。 「手作業が介在したり透明性が欠けている状況は、案件管理という中核業務において大きな問題です。自動化、合理化をおこなって案件ステータスを一目で把握できるようにしたかった」と、NCC執行役員 最高情報責任者の菰田丈士氏は新システム構築の背景を語った。 とはいえ、単に自動化、合理化できればよいわけではない。急成長を遂げている同社では、常にスピードが求められる。そして、成長に伴い業務プロセスも次々と変化する。この変化に柔軟に対応することも、同時に要求されるのだ。 Oracle BPEL Process Managerによりわずか4カ月で独自システムを構築このスピードと柔軟性を実現する効率の高い仕組みとして採用されたのが、SOAの主要機能の1つであるBPEL(Business Process Execution Language)である。BPELは、既存システムにほとんど手を加えずに、各システムで処理される業務プロセスを自動的に連携させることができる。 NCCでは、Oracle Application Server 10gと、その上で動作するOracle BPEL Process Managerを用いて、NCC TMSの最初のバージョンを2カ月という短期間で構築した。その2カ月後の2006年9月にはバージョンアップをおこない、現場での運用を開始している。 「2カ月で最初のバージョンをリリースできたときには、これでいけると実感しました」(菰田氏) スピードが求められる要因は同社の成長速度だけではなく、企業をとりまく経営環境の急激な変化も挙げられる。開発に6カ月〜1年もかけていては、変化に対応できず競争力を失ってしまう。ITが企業競争力の足を引っ張るわけにはいかない。Oracle BPEL Process Managerを利用したことで、全体的なコーディングの量も少なく抑えられ、迅速な開発がおこなえた。 もう1つのハードルが柔軟性である。構築後に柔軟に変更できないと、新たな要求が出されたときにシステムを一から構築しなおすことになりかねない。 「当社のRFP(Request For Proposal:提案依頼書)に対する提案は他社からもありましたが、最終的に、期間と価格の両面でオラクルの製品を選びました。BPELなら早く作れるし、早く直せるので、結果的に品質も上がります。既存システムとのインタフェースもきちんととれているので、システム間で5分ごとにデータをリフレッシュする仕組みも容易に実現できました。これにより、既存のシステムへの投資も無駄になりませんでした」(菰田氏) 新システムでは、既存の案件情報管理システムに案件が登録されると、Oracle BPEL Process Managerにより自動的に案件管理処理プロセスが開始される。そして、関連する部署に必要な情報の入力が指示され、承認のワークフローを介して、順次必要な業務プロセスが進められていく。この過程のどのタイミングでも案件の状態を見られるため、経営者層からはビジネスの状況を瞬時に把握できるシステムとして高い評価を得ている。 「物件(ディール)管理をおこなうパッケージ製品を導入している会社はあるが、このような独自のシステムを展開している企業はほかにありません。他社がやっていないことを実践し、成功しているという実績は、当社のステークホルダーからの高い評価にもつながります。ディールの状態、案件の情報を経営者層がきちんと理解できていることは、会社として大きな強みになります」(菰田氏) KPIやダッシュボードの導入でパフォーマンス・マネジメントも視野に現場では、導入をスムーズに進めるためのトレーニングを徹底したこともあり、このシステムを積極的に利用している。その結果、経営者層だけでなく現場からの評価も高い。現在までに大きなシステム上のトラブルはなく、多くの建設的な意見や要望が寄せられているという。2006年11月からは米国、韓国、中国等の環太平洋地域の海外拠点でもこのシステムの利用を開始している。このような展開を通じて、新たな要求も生まれてくる。 今後は、KPIを設定して企業のパフォーマンス・マネジメントをおこなう仕組みの導入も検討されている。過去のディール情報の蓄積が進めば、データに基づく確度の高い分析や予測などがおこなえる。そして、案件の発生からクローズまでの過程におけるキャッシュフローや予算の管理といった業務を含む、プロセス全体を扱えるような仕組みを構築していきたいという。 「一連の業務プロセスをすべて1つのシステムで実現しようとすると、きわめて規模の大きなものになってしまいます。BPELベースのNCC TMSをインタフェースにして、既存のシステムと新たに構築するシステムをSOA的に連携させれば、その必要はありません。さらに、地図情報との融合やファイナンスプロセスの取込みをおこない、経営ダッシュボードを導入して、リスク・マネジメントやパフォーマンス・マネジメントを実践していきたいと考えています」(菰田氏)
ITの活用がさらなるビジネスの拡大につながる不動産業界には古い体質が残っており、昔からの慣習的な業務プロセスも多い。一方で、ITシステムがないと業務が進められない現状もあるという。 「現在は、ITシステムを活用することで、不動産業における新しい業務の進め方を模索している状況です。テクノロジーをうまく活用できれば、この業界には効率化と成長の余地がまだたくさん残されていると感じています」と菰田氏は指摘する。そのためには、IT部門がシステムだけを扱っていてはだめで、人や組織との関わりの部分にも積極的に関与していく必要があるという。 NCCでは、IT部門が運用管理といったバックオフィス業務だけでなく、企業の成長を支える戦略的な活動も担う部隊として機能している。そして、Oracle BPEL Process Managerを活用したNCC TMSは、そうした企業の戦略的な活動のための重要な武器となっている。 本事例の内容および役職は、2007年6月時点のものです。 |
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