事例:ニフティの選択 ニフティロゴ
Oracle Grid and Oralce Business Intelligence、データ収集から分析環境までシングル・アーキテクチャで統一。多様化するサービスとユーザーニーズに柔軟に対応できるウェアハウス・グリッド構築に成功。

小野 昌子氏
ニフティ株式会社
CSシステム部 小野 昌子氏
林 一司氏
ニフティ株式会社
カスタマーサポートグループ
副グループ長 林 一司氏
“勝ち残っていくためには、ニフティ自身の立ち位置を知り、お客様が望んでいることを知り、それではニフティはどう変わるべきかを、事実に基づいた分析を通じて知ることが不可欠です。”
ニフティ株式会社
カスタマーサポートグループ
副グループ長 林 一司氏


今回のお客様
会社名:
ニフティ株式会社
本社:
東京都品川区南大井6-26-1 大森ベルポートA館
会社概要:
資本金:10億円
売上高:683億円(2005年度)
従業員数:526名(2006年 3月31日現在)
事業内容:
日本の商用パソコン通信サービスの草分け的存在。現在は、富士通100%出資のインターネットサービスプロバイダ(ISP)として、@nifty(アット・ニフティ)を運営。1,000を超える個人向けサービスを提供している。
製品とサービス:
・Oracle Database 10g Enterprise Edition
・Oracle Real Application Clusters 10g
・Automatic Storage Management
・Oracle Partitioning
・Oracle Advanced Security
・Oracle OLAP
・Oracle Warehouse Builder 10g
・Oracle Discoverer
・Oracle Enterprise Manager 10g
・Oracle Application Server 10g Release 3
・Oracle Portal
・Oracle Internet Directory
対象システム 会員情報分析用データウェアハウス「FORCEシステム」
導入効果:
・「お客様像」の変化に対応できる大量データの高速処理環境の実現
・ETL処理の高速化でデータの鮮度向上
・シングル・アーキテクチャによるシステム全体の保守性向上

ブロードバンド上でのサービスの多様化が「お客様」の意味を変えた

ニフティがパソコン通信サービスを始めて20年。インターネット、そしてブロードバンドの出現によって、ネットワーク利用の姿は一変した。

「一番大きな変化は、『お客様』の意味が変わったこと。『@nifty』のブロードバンド接続サービスを契約されている会員に限定することなく、インターネット利用者全員を、『お客様』として捉えることが重要になってきました」と、ニフティ株式会社の林 一司氏は指摘する。

ニフティはこれまで、会員の利用動向を戦略的に解析するためのデータウェアハウス・システム「FORCE」を構築して、コンテンツの充実、新サービスの企画、サポートの品質向上などに役立ててきた。しかし、サービス数が増加し、お客様のニーズが多様化してくると、システムの設計を根本からやり直す必要がある。

「分析のやり方も変えたい。お客様をセグメント分けしてサービスを考えるのではなく、一人一人に対してオーダーメイドのサービスを用意してリコメンドしたいのです。お客様との距離をもっと縮めなければなりません」と林氏は力説する。
従来のシステムではデータが分断されて配置されていたため、エンドユーザーが要求するデータを抽出するにもプログラミングが発生し、データの収集に多大な時間を要していた。秒単位で複雑な動きをする顧客が求めているものを捉えたり、ニフティのサービス利用の大きな流れをつかむといったことも困難だったのである。

データ収集から分析環境までシングル・アーキテクチャで統合

「2005年に、『次世代FORCEプロジェクト』を立ち上げたときは、データのハンドリングをどう改善するかという問題だと考えていました」と、ニフティ株式会社の小野 昌子氏は言う。

ところが、何十倍ものデータ量を扱いつつパフォーマンスを上げ、できるだけリアルタイムに近いデータを分析者に提供する、しかもデータマートはサービスやデータの変化に追随しながら常に変えていかなければならない。これら数々の要件は、ツールを変えたり部分的にシステムを増強するだけでは満たすことはできなかった。

複数の選択肢を慎重に検討した末、オラクルの提案を採用したのは、データの収集から分析者へのデータ提供まで、プロセス全体を網羅する統合的な解決策だったからである。

まず利用者には、わかりやすく使いやすい情報の提供が求められる。情報への窓口であるOracle Portalと、柔軟な非定型分析を実現する Oracle Discoverer、そして高度な多次元分析をするためのOracle OLAPを提供する。「フロントツールはユーザビリティを中心に考えました。」と小野氏は評価する。Oracle Portalで構築したポータルでは、経営トップ層がリアルタイムに状況を把握、Oracle Discovererで少し分析を加えたい現場担当者、Oracle OLAPで思いのままの仮説検証をしたい企画立案者のいずれもが、パーソナライズされたページにアクセスした後はシングルサインオンで必要な情報を利用できる。Oracle Discovererは直感的に操作できるツールであり、エンドユーザー・コンピューティングを容易に推進できる。情報システム部門も、切り口を変えたデータを作るために、いちいちプログラミングをする負担から解放されるのだ。

また、データ収集の仕組みでは、ログデータベースなど数十のシステムからデータを吸い上げる必要があった。この部分では、データの一貫性の保証や影響分析などの機能を評価して、Oracle Warehouse Builder 10gを採用、効率よくデータ変換と集計を実行している。

そして、出来上がったデータウェアハウスは、Oracle Real Application Clusters 10gで構築したクラスタシステムにより、高い拡張性と可用性が実現されている。

「統合ソリューションを採用したことで、処理能力が高く、保守コスト・開発コストを低減できるシステムを構築することができました。個別の製品を組み合わせていると、ソースデータが変化したといったときにさまざまな箇所でチューニングが必要になりますが、シングル・アーキテクチャのシステムなら柔軟な修正をすばやく実行できます」と小野氏は評価する。

お客様のシステム構成

ウェアハウス・グリッドの実現。アプリケーション・サーバーからストレージまでグリッド技術によりすべて仮想化

次世代FORCEシステムは、2006年4月に開発をスタートし、同年10月、本格稼動を開始した。

履歴管理に必要な会員の基本情報は、半永久的に保存する。詳細な利用情報は2年分蓄積する。ストレージ容量は当面7TBを用意した。

技術面では3つのポイントがある。

第1は、アプリケーション・サーバー、データベース、ストレージのすべてにわたってグリッド技術を採用し、リソースの有効活用を行っていることである。

「ポータルサーバー上にOracleAS Web Cacheのエンジンがあって、分析サーバーへの負荷を自動的に最適分散します。データベースも二重化していますから、処理要求は空いているほうのデータベースへ自動的に誘導されます。さらに特定のサーバーに負荷がかかったら、グリッド技術で自動的にリソースを割り当てますから、レスポンスが悪化する心配がありません」と小野氏は説明する。

第2に、Automatic Storage Management(ASM)の機能を活かして、データウェアハウスの表領域管理を自動化したことだ。

「旧システムでは、どこにどういうデータを置けばパフォーマンスが上がるかと考慮し、利用状況に応じてデータ配置を変えていました。今回は、ストレージ環境にASMを使用しているため、ASMが自動チューニングを行い、パーティショニング設計やディスク配置を意識する必要がありません」と小野氏は喜ぶ。

第3は、オラクルが提供するさまざまなセキュリティ機能を駆使して、強固なセキュリティを実現したことだ。

たとえば、利用者はポータルにアクセスするだけで、バックエンドのデータベースには直接アクセスしない仕組みを確立した。データベース側でも必要に応じて項目単位できめ細かいセキュリティ設定を実施している。また、Oracle Transparent Data Encryptionを使用して暗号化を実施。作り込みは全く不要かつ容易な設定で、強力なデータベース・セキュリティを実現している。

よりリアルタイムに近いデータを駆使してリアルタイムな顧客ニーズを捉える

次世代FORCEシステムの目に見える構築効果は、2点挙げられる。

ひとつは、データの鮮度が上がったことだ。

旧システムは、データの収集と整理に4時間を要したため、1日1回、データ更新を行っていた。現在は、データベース連携、差分処理、ETL機能の向上などの相乗効果で、データの収集と整理が1時間以内で完了する。現在は1日に3〜4回の運用であるが、毎時のデータ更新も視野に入ってきた。

もうひとつ、TCO削減と情報システム部門の負荷軽減も大きく前進した。複雑なデータ統合やデータの整合性の確保をOracle Warehouse Builder 10gでスムーズに実現できるようになったことから、データ収集のためのプログラム開発が不要になった。

「もっと重要な構築効果は、『お客様へのサービスをより良くするため』の分析環境が整ったことです。ニフティが勝ち残っていくためには、ニフティ自身の立ち位置を知り、お客様が望んでいることを知り、それでは、ニフティはどう変わるべきかを、事実に基づいた分析を通じて知ることが不可欠です。これからは、データを使いこなすところに注力して、お客様との関係づくりに役立つシステムへと育てていきたい」と林氏は強調した。

本事例の内容および役職は、2007年2月時点のものです。