“オラクルのBPEL製品がなければ、このような短期間での開発はできなかったと思います” |
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物流の第一線で利用されているパレットの規格を統一し、各社でそれを共有すれば、物流におけるさまざまな問題が解決できる。日本パレットレンタル株式会社(以下、JPR)は、この統一規格パレットのレンタル業務によって、合理的で無駄のない先進の物流システムの実現を目指している。 レンタルパレットの状態を正確に把握したい「当初の試算では、パレット回収時に発生するCO2排出量の34.1%削減を見込んでいましたが、実際には40.6%も削減できました。これは、中長期的にみれば配送コストなどにも大きく影響すると思われます」 JPR情報システム部 システム課 主任の谷口大輔氏は、新たに導入したシステムの効果について、このように語った。JPRでは、RFIDとSOA技術を利用したパレット管理システムを新たに構築し、トラックによるパレットの運送業務の効率化を実現してCO2排出量の大幅な削減に成功したのである。 パレットのレンタル業務の流れは、まず顧客となるメーカーにパレットが貸し出され、メーカーはそれに商品を載せて卸売業者や大型量販店に出荷する。商品を輸送した後に空となったパレットは、共同回収拠点となる卸売業者からデポと呼ばれるJPRのパレット集積場所に回収される。集められたパレットは、所定の点検などを経て再びレンタルに利用される。 この共同回収の仕組みを利用しているメーカーは140社以上。共同回収の拠点は全国で約1,200拠点、年間共同回収枚数は約1,000万枚にものぼる。パレットの回収業務は、メーカーからの出荷情報をもとに卸売業者の拠点に出向いておこなう。しかし、回収トラックが行ってみたらまだ商品がパレットに載ったままということもあり、回収可能なパレットが各拠点にいくつあるかを正確に把握するのは困難だった。 「パレットは10トン トラックに240枚積めます。これまでは、たとえば“この拠点は3日おきに回る”といった経験則でトラックを配車していましたが、回収できる枚数が極端に少なかったり、逆に多すぎて追加のトラックを差し向けるようなケースも度々ありました」(谷口氏) JPRにとって、パレットの状態を正確に把握することはきわめて重要な問題である。早く正確に回収できれば、回収業務の効率だけでなく、パレットの稼動率も向上するし、紛失も防げる。このような課題を解決するために、RFIDの活用が考えられた。 RFIDとBPELで効率化の仕組みを短期間で構築今回のシステム化のきっかけとして、経済産業省の「グリーン物流パートナーシップ推進事業」への参画がある。これは、物流分野における地球温暖化対策を推進するための活動で、低公害車の開発普及やトラック輸送の共同化・大型化による積載効率向上など、物流システムの改善を図ってきた。さらに、新技術の導入やビジネスモデルの再構築なども実施し、物流に関わる燃料消費の削減を目指している。 JPR取締役副社長の加納尚美氏は、新たなシステムを構築した理由を次のように述べている。 「2004年から経済産業省の補助事業に参画し、先進的な物流の研究に携わってきました。当時は荷主の立場で運送会社とともに運送業務の効率化について検討していましたが、その際に運送会社から、商品の配送よりもパレット回収の効率化のほうが課題だという指摘がありました。当社としても早急に対策を講じるべきだと考えて、2006年のグリーン物流パートナーシップ推進事業への参画をきっかけに、新たな仕組みを構築することになったのです」 新しいシステムでは、パレットにRFIDのタグを付け、メーカー、卸拠点、JPRデポにタグ情報の読取り装置を設置して、リアルタイムにタグ情報を収集する。これにより正確なパレットの状態を把握し、最適なトラックの配車を実現するという仕組みである。JPRでは、すでに独自の物流機器在庫管理システムの「epal」が稼動している。このepalにパレットのタグ情報を取り込んで、正確なパレットの情報を配車システムに渡すのである。 さらに、将来的なRFIDタグ情報の幅広い活用も視野に入れ、業界標準のRFIDタグ規格EPCglobalに対応した「EPC Information Services」にタグ情報を蓄積することにした。これらを実現するために一からシステムを作り直すのでは、時間もコストもかかってしまう。そこで考えられたのが、既存システムを活かすSOAベースのシステム構築だった。データのリアルタイムな収集をおこない、そのデータをもとに複数のシステムを連携させる仕組みとしては、Oracle BPEL Process Managerが採用された。 Oracle BPEL Process Managerでは、まずRFIDの情報を収集するOracle Sensor Edge Serverからデータを取得し、EPC Information Servicesに格納する。次に、格納されたタグ情報をepalに渡す。この2つの処理により、いつメーカーからパレットが出荷され、いつ卸拠点に搬入され、空のパレットがいくつあるかがepal上で正確に把握できるようになった。 Oracle Sensor Edge Serverを組み込んだRFIDアンテナ・ゲートも新たに開発した。2つのセンサーを搭載し、フォークリフトに積まれたパレットがどちらの方向から横切ったかを感知して、出庫と入庫の状況を正確に読取るものだ。このアンテナ・ゲートの開発も含め、2006年4月にスタートしたプロジェクトは12月までに構築を終え、2007年1月から稼動を開始した。 「実際のバックエンドのシステム開発期間は、8月から12月にかけての4カ月間です。オラクルのBPEL製品がなければ、このような短期間での開発はできなかったと思います」(谷口氏) オラクル製品の採用は、RFID、SOA分野での実績を評価して決められた。実際に、BPELの利用により、情報の収集から各システムとの連携に必要な既存システムの改変までの作業は最小限で済んでいるという。
海外展開や物流分野でのRFIDのさらなる活用も視野にレンタルの仕組みでパレットを共有して循環利用する、という事業コンセプト自体が環境にやさしいものだ。JPRでは、今後も環境保全への取組みを積極的におこなっていく。今回の予測を上回るCO2削減効果は、2万枚のパレットにRFIDのタグを取り付けて得られた結果である。JPRは2010年にはすべてのプラスチックパレットにRFIDのタグを付け、さらなる効率化を目指すという。 また、輸出入で使われるパレットについても、韓国のパレットレンタル会社と連携し、EPC Information Servicesの情報をグローバル規模で活用することも検討されている。これは、物流業界の標準規格を採用したからこそ可能なことだ。 「今回の40.6%というCO2削減効果は、満足できる結果と考えています。しかし、RFIDのタグにはまだまだ課題があります。破損や廃棄まで含めて考えると、商品1つ1つにタグが付くようになるまでには時間がかかるでしょう。まずはコンテナやパレットへのタグ付けが進み、すべてのパレットにタグが付けられれば、物流のさらなる効率化だけでなく、その上の商品のトレーサビリティの実現といったことも期待できます」(加納氏) 新たな技術であるRFIDを既存システム上で活用し、効率化を実現したJPR。今回のシステムで具体的な成果を上げられた事実は、RFIDをうまく活用すれば将来的に物流の仕組みを大きく変革し、効率化できることを証明したといっても過言ではないだろう。 |
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