事例:セブン-イレブン・ジャパンの選択 セブン-イレブン・ジャパンロゴ
Oracle Database 10g Enterprise Edition、Oracle Real Application Clusters 10g、Oracle Partitioning、単品管理から、立地を加味した個店対応へ。15TBのデータウェアハウスを構築して、仮説検証型の発注をさらに進化

佐藤 政行氏
株式会社セブン&アイ・ホールディングス
執行役員 システム企画部
CVSシステム シニアオフィサー
佐藤 政行氏
“情報は生命線。情報系システムを、堅牢かつパフォーマンス良く作ることが、フランチャイズビジネスの基本です”
株式会社セブン&アイ・ホールディングス
執行役員 CVSシステム シニアオフィサー
佐藤 政行氏


今回のお客様
会社名:
株式会社セブン-イレブン・ジャパン
本社:
東京都千代田区二番町8番地8
設立:
1963年11月20日
会社規模:
資本金:172億円
売上高:2 兆 4,987 億円 75,400万円(国内チェーン全店売上高)
社員数:4,804人(2006年2月28日現在)
事業内容:
日本におけるコンビニエンスストアの最大手。11,454店舗を展開。現在はグループ持株会社・株式会社セブン&アイ・ホールディングスの子会社。発祥は米国だが日本市場で大きく進化し、1991年にはイトーヨーカドーとセブン-イレブン・ジャパンがライセンス元の米国会社を買収・子会社化した。
製品とサービス:
・Oracle Database 10g Enterprise Edition
・Oracle Real Application Clusters 10g
・Oracle Partitioning
対象システム:
セブン-イレブン・ジャパンの第6次総合情報システム
導入効果:
・データウェアハウスのパフォーマンスアップと可用性向上
・精度の高い仮発注の実現
・店舗での的確な発注を支援する情報のすばやい提供

仮説検証型店舗経営を支える「情報系システムの基幹化」

これまでの企業システムは、販売・物流を扱うシステムが「基幹系」と呼ばれ、企業活動を評価・分析する情報系システムは、基幹系システムの補足的な位置づけとなっていた。企業活動のPDCAサイクルに即して言えば、Do部分を支えるシステムのみを「基幹系」と呼んでいたのである。

しかしセブン-イレブン・ジャパンは、こうした基幹系・情報系の枠組みをはるかに超えたところで、情報の活用を行ってきた。商品販売動向のすばやい把握と、その分析結果を各店舗の仕入れに反映させる店舗経営を行って成功してきた。システム的には、「本部情報分析システム」と呼ぶデータウェアハウスを構築して、情報系と基幹系のシステムを表裏一体で動かしてきたのである。同社は、情報系システムを基幹化し、PDCAサイクルを担うすべてのシステムを「基幹系」と位置づけているのだということができる。

個店対応を目指して全国11,454店舗すべてにOracle Database 10gを配備

セブン-イレブン・ジャパンは、言うまでもなく日本最大のコンビニエンスストアである。チェーン全体での増収増益傾向は続いており、1店当たりの平均日販は他チェーンより約3割高い。それでも、持ち株会社で経営主体でもある株式会社セブン&アイ・ホールディングスのシステム企画部 シニアオフィサーの佐藤政行氏は、「少子高齢化が進むなか、コンビニを取り巻く環境は厳しくなっています。個店あたりの日販も、1999年以来、横ばい、または低下傾向です」と厳しい表情で語る。変化を先取りする対策を講じるために、情報系システムをさらに強化することが急務になっていたのである。

「コンビニ店舗の増加も続いており、より地域に密着した商売が求められる現在、次の課題は、個店ごとの立地特性による売れ筋の変化への対応、個店対応力だと考えています」と佐藤氏は語る。

たとえば、繁華街の店ではパンティストッキングが月に600枚も売れるが、工場の近くでは月に数枚しか売れないなど、店舗の立地環境や周辺にある施設によって、売れ筋商品は大きく異なる。

そこで、2005年11月にスタートした第6次総合情報システムでは、ネットワークの光ファイバー化、会計システム再構築、マルチメディア・コンテンツを店舗へ配信する本部情報発信システム構築、店舗システム構築、本部情報分析システム刷新、新型POSレジスター入れ替えという6つのサブプロジェクトの実行によって、「個店対応力の強化」を追求した。

もうひとつ、個人の情報分析能力に頼らず、誰でも的確な仕入れができる体制を確立することも大きなテーマだった。そこで店舗システムは、全国11,454店舗(2006年9月現在)すべてに、Oracle Database 10gを配備。店舗内に無線LANを張り巡らし、携帯型発注端末を持って店内を移動しながら、データベースを活用した仮説検証型の発注入力ができる環境を整えた。

Oracle RACで「本部情報分析システム」の信頼性を強化

6つのサブプロジェクトの一つである本部情報分析システムでは、従来から構築してきたデータウェアハウスを刷新した。また、情報系システムの基幹化を支える重要な要素として、可用性強化とレスポンス向上も追求したのである。

セブン-イレブンでは、従来から、信頼性を重視してOracleデータベースを採用してきたが、第6次総合情報システムでは、Oracle Database 10g Enterprise Editionを採用したうえで、Oracle Real Application Clusters 10g(以降「Oracle RAC」)を用いて、可用性を強化したクラスタシステムを構築した。

「フランチャイズビジネスというのは、1店1店が、本部と対等のビジネスパートナーです。システムに障害が起きれば、ビジネスパートナーであるはずの本部に対する信頼が損なわれます。可用性は99.999%でも足りないのです」と佐藤氏は強調する。

セブン-イレブンは、情報システムを駆使した仮説検証型の発注を行っているだけに、発注システムなどいわゆる基幹システムはもとより、仮説検証のプロセスを支える情報系システムといえどもサービス停止の影響は大きい。絶対にサービスをストップさせないシステムを実現するために、Oracle RACを選択し、ネットワークやハードウェアも強化したうえで、データベース容量も余裕ある15テラバイトを用意した。さらに災害対策として、データセンターも関東と関西で二重化している。

実際に、佐藤氏は、「第6次総合情報システムの運用開始以来、バッチ処理の遅延などデータベースに関するトラブルはまだ一度も発生していません」と言い切る。

セブン-イレブンのデータウェアハウス

きめ細やかな情報提供や精度の高い需要予測により、機会損失を低減。

本部情報分析システムには、400日分のPOSデータを中心に、在庫、欠品、発注、廃棄、客層、天気などに関する情報が蓄積されている。さらに今回、個店対応のための立地データと周辺施設データ、長期分析を目的とする1998年以降のサマリデータも登録した。

データ量は増えたが、Oracle Partitioningを用いてデータを効率よく分割管理することで、パフォーマンスは向上した。

「10秒かかっていた検索が瞬時でできるようになるなど、レスポンスやバッチ処理の速さに、データベースの進化の手応えを感じています」と、Oracle Database v6の時代からのOracleデータベースをご存知の佐藤氏は評価する。

各店舗の経営を指導するOFC(オペレーション・フィールド・カウンセラー)は、朝一斉に本部情報分析システムへアクセスして、前日のデータ分析を行う。11時に最初の発注締め切り時間を迎えるので、店へのアドバイスは速やかに行わなければならない。検索時間は1秒でも短いほうが良いし、効果的な仮説検証を行うには、思考を妨げないスピードが重要だ。

また、直接にデータウェアハウスを操作するのは、主にOFC、マーチャンダイザ、商品企画担当者などの現場担当者であるが、データウェアハウスのデータは、取引先へも提供されているし、店舗へも配信されている。「利用者は、5000人の社員全員」と佐藤氏は言い切るほどだ。

店舗では、携帯型発注端末で発注を行う際に、周辺施設のイベントカレンダーや天気予報に加えて、陳列の成功例や地域単位の売れ筋情報などが表示される。これは、本部でデータウェアハウスを分析した結果が、きわめて短いサイクルで店舗にフィードバックされている成果だ。「明日、近くの小学校で運動会があるのなら、おにぎりを多めに発注しよう」というところまでは誰でも思いつく。それでは、どの種類を何個注文すれば最適か、本部から配信されているさまざまなアドバイスを見ながら、検討できるのである。

2007年春、セブン-イレブンは、独自のプリペイド型電子マネー「nanaco(ナナコ)」をスタートさせる。個店対応だけでなく、1日1100万人以上の来店客の動きまで加味したマーチャンダイジングが可能になるわけで、情報系システムの役割はますます重要になる。

「個店の売上を右肩上がりにするために、あらゆる手を尽くします。バックヤードでは常にOracleデータベースを使いますから、今後もきっちりと支援していただきたい」と佐藤氏は熱く語った。

本事例の内容および役職は、2007年2月時点のものです。