”Oracle RACベースのシステムが稼動してから3年間、数回の計画停止以外は一度もシステムはダウンしていません。Oracle RACはきわめて安定しています”
株式会社システム・テクノロジー・アイ 代表取締役社長兼最高執行役 松岡 秀紀氏
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| 株式会社システム・テクノロジー・アイ 代表取締役社長兼最高執行役 松岡 秀紀氏 |
株式会社システム・テクノロジー・アイは、「人と学びを創造する」というコンセプトのもと、いつでもどこでも楽しく学べる環境を提供し、人材づくりをサポートする企業だ。その環境を実現するものの1つが、eラーニング・ソフトウェア「iStudy」である。個人向けのスキルアップ・ツールとして1999年に発売され、2007年7月時点で59万ライセンスを超える大ヒット製品だ。
iStudyはORACLE MASTERの学習用ソフトウェアとしても有名だが、現在では各種ITスキルはもちろん、ヒューマン・スキル、コミュニケーション・スキル、語学など430タイトル以上がラインナップされている。さらに、企業における人材のスキルの可視化、研修や学習の統合管理などをおこなうサーバー・ソフトウェア「iStudy Enterprise Server」、SaaS型サービスの「iStudy OnDemand」、学習コンテンツ制作の「iStudy Creator NX」など、サービスと製品の幅は大きく広がっている。講師から直接サポートを受けながら実機による体験学習がおこなえる認定研修事業も、ビジネスの重要な柱の1つだ。
システム・テクノロジー・アイ 代表取締役社長兼最高執行役の松岡 秀紀氏が同社に参画したのは、創業の翌年にあたる1998年である。当時はオラクル関連のコンサルティング・サービスなども手がけており、松岡氏はそこで多くのトラブルに立ち会った。その原因の多くは、現場で開発・運用をおこなっている技術者が、Oracleデータベースをきちんと理解していないことだったという。
「トラブルの原因を追究すると、そもそもデータベースの設計自体に問題があるケースがたくさんありました。システムの重要なインフラとなるデータベースがこのような状況のままでは、将来のITシステムが安定して運用されるか心配になりました」(松岡氏)
こういった体験がきっかけとなり、技術者のスキルアップ・ツールiStudyが生まれた。パッケージ版からスタートしたiStudyは、ASP型のWeb版も早くから提供され、現在はSaaS型など新たなサービスへと進化を遂げている。ライセンスを購入した登録ユーザーやiStudyの情報を求める人たちのコミュニティ・サイト「@iStudy」には、21万8,000人以上の会員が参加している。これら複数のオンライン・サービスを支え、学習コンテンツや個人のスキル診断の内容などを管理しているのが、「Oracle Database 10g」と「Oracle Real Application Clusters(以下、Oracle RAC)10g」だ。
1999年にWeb版のサービスを開始した当初、システムはOracle8iとMicrosoft Internet Information Serviceの組合せで構築された。その後、増え続けるユーザーへの対応とサービス拡充のために、Oracle Database 10gをベースにJavaで開発された新システムに移行したのが2004年9月。いつでも学べる安定した環境を提供するには、24時間365日サービスを止めることはできない。そこで、高度な可用性と信頼性を確保するためにOracle RACも導入された。
Oracleデータベースに精通する松岡氏には、1つのポリシーがある。運用管理の手間を減らすには、アプリケーションごとにデータベースをいくつも立ち上げるのではなく、できるだけデータベースは少なくするべきだというものである。これにより、運用管理作業はきわめてシンプルになるという。たとえば、データベースが1つだけなら、アプリケーションごとにバックアップレベルが異なることもなく、管理作業の信頼性や安全性、トラブルからの復旧などにおいてかなり大きなメリットが得られる。そのため、同社では以前から、外部向けのサービスも社内向けの業務アプリケーションも、1つのデータベースで運用する仕組みを構築してきた。
「当初はWeb版サービスのユーザーがそれほど多くなかったので、とくに大きな問題は起きませんでした。しかし、2001年頃からユーザーが増えてシステムの負荷が上がったため、インハウスのマシンルームの温度が上昇し、サーバーが勝手にシャットダウンするトラブルも発生しました。データベースが1つだと、トラブル発生時に内側の業務も外側のサービスも同時に止まってしまうというリスクが出てきたのです」(松岡氏)
このような状況を打開するためにシステムの拡張を検討していたときに、オラクルから新たに Oracle Database 10g Standard Edition (SE)用のOracle RACが提供されるという情報がもたらされた。これなら1つのデータベースで複数のサービスを十分に提供でき、かつ信頼性が高く安定運用が可能なシステムを安価に構築できると松岡氏は判断した。
「このシステムではOracle RACの機能と性能をフル活用しています。2ノードのOracle RAC構成でも、ここまでハードな使い方ができることを証明しているといえるでしょう」(松岡氏)
Oracle Database 10g SEのOracle RAC構成は、単独のアプリケーションの可用性向上のために利用されることが多い。しかし同社の場合は、複数のアプリケーションを稼動させ、運用管理もすべて一元化できる体制を構築している。これはまさにグリッド的な活用事例といってもいいだろう。
システムのプラットフォームには、IBMのブレードサーバーとストレージが採用されている。OSはLinuxが搭載され、この構成で上記のような使い方をしても、2004年9月の稼動開始以来、計画停止を除いてシステムは一度もダウンしていない。また、Oracle RACに関する研修も自社のメニューに加えたいという考えから、Oracle RACの導入、セットアップ、検証作業を研修講師らが担当することとなった。
「あらゆる障害テストケース、負荷テスト、その対応の仕方まで、Oracle RACの構築・運用に必要と思われることはすべて試しました。ノード障害を想定して電源を落とすテストもおこない、サービスが継続できることを事前に確認しました」(松岡氏)
このように、マシンが納入された2004年6月から稼動開始までの間に徹底的な検証作業がおこなわれた。その経験を活かし、システム・テクノロジー・アイではOracle RACの研修サービスを提供している。研修専用のサーバーと共有ディスクを3セット用意し、実際のマシンに触れながら経験、学習できる環境を構築している。
Oracle RACを使いこなすには、それなりの知識がなければつまずくこともある。しかし、決して難しくはないという。
「Oracle Database 10gになってから、市場でのOracle RACのニーズはかなり高まっています。ORACLE MASTER Platinumの試験でも、Oracle RAC技術の習得は重要な要素です」と松岡氏は語る。今後、性能と可用性、信頼性が求められるシステムであれば、Oracle RACを使わないことは考えられないという。
技術にコミットした会社であり続けたいという松岡氏の思いもあり、3年間運用してきた現在のシステムのさらなる能力強化が計画されている。ちょうどそのタイミングに合わせてOracle Database 11gが登場したことから、Oracle Database 11gへの早い段階での移行も検討されている。
「24時間365日止められないシステムなので、Oracle Database 11gのOracle Real Application Testing機能などには興味があります」(松岡氏)
システム・テクノロジー・アイは、その事業領域を学習、教育の分野から人材育成ビジネスにまで広げている。拡大するビジネスをOracleデータベースとOracle RACがしっかり支え、そこから得られる経験をIT技術者にフィードバックする。これにより、「エンジニアがもっと楽しく仕事をできるようにしたい」という松岡氏の願いは次々と実現していくに違いない。
本事例の内容および役職は、2007年8月時点のものです。